最近、数多くの「クスリ」が出回っています。「無理なくやせる」と称する怪しげなダイエット方もまったく廃れる気配なし。ホントに効くのならとぉの昔に肥満の悩みはないはずなのにね。それでもついつい買ってしまったり試してみたりを繰り返すのが、凡人の弱いところでありまして……。

アブナイ薬・1>2003/2/18
「コレバイン」という薬を飲み始めてひと月余りたちました。何と! 約2kgも体重が減っております。エアロビ強度で走るよう心がけてはおりますが、絶対量が足りませんし、体重減はこの薬のせいとしか思えません。思えば服用後2週間ほどして、ウエストが緩くなり始めたような・・・・。
「コレバイン」は、コレステロールから造られる胆汁酸を肝臓に吸収されにくくした上に、合成と排出を促進する作用があります。高脂血症の治療などに用いられています。
おまけに食事中のコレステロールの吸収を妨げるので、結果的に摂取カロリーが減って体重減につながったと思われます。知人は、これを服用してもさほど体重が減らなかったと言うことなので、私の食生活がいかに高コレステロールであるか、の証左でもありますが。
(ーー;)
ご注意:あくまで高脂血症治療の副次的効果として体重が減ったという話題であります。体重減を目的にコレバインを服用されることのないようにお願いします。

アブナイ薬・2>2003/2/26
「アスピリン」をご存じでしょうか? 
鎮痛解熱剤ですが、一部に本来の目的と違う使い方をする例があります。この薬の効能のひとつに血流を良くする効果があるのですが、これを逆手にとってEPO(Erythropoietine)ドーピングの副作用予防に使うのです。
EPOは、もともと腎性貧血症の治療薬でした。これを服用すると赤血球の生産が促進されることに注目して、耐久競技のドーピングに流用したわけです。
ドーピング検査が尿検査主体の頃(宗教的に血液検査が難しい国があったという背景がありました)は、発見が難しかったのですが、いかんせん、赤血球が急激に増えれば血がドロドロになって血栓ができる危険がある、ということで、この対策としてアスピリンが使われていました。発見が難しいこともあって、EPOとアスピリンの組み合わせは、業界通が「ヨーロッパのプロで使っていない選手を探す方が難しい」と言うほど、一時は広まっていた、と言います。
ちなみに血流を良くするアスピリンは、うたわれている効能以上に様々な効果があるのではないか、という説もあり、高く評価する人が多い薬です。
EPOもアスピリンも、開発した人は、そんな使い方をされるとは思っても見なかったでしょう。ドーピングの薬って、ほとんど全部がそうなんですが。
要するに、悪いのは薬ではなく、人間、と、まぁごくありきたりの締めになってしまいました。
(-_-)
ご注意:医薬品を本来の治療目的以外に利用すると、場合によっては生命の危険もあります。話の種に止めていただきますよう切にお願い申し上げます。

アブナイ薬・3>2003/3/10
風邪薬の誘惑
風邪薬の主要な成分のひとつ、「エフェドリン」は、ドーピングやダイエットの話題に必ず出てくる薬物です。気管支拡張、鼻粘膜の血管収縮などの作用があり風邪の症状を和らげるのに使われます。ところが興奮作用があることを逆手にとってレース前に服用したり、代謝促進の効果(平たく言えば、脂肪燃焼)があることからダイエットに使う例もあります。生薬の麻黄の主成分でもあるので、「レース前に葛根湯、日常的にも葛根湯」なんて話になってしまう・・・・。(-_-)  一時期、陸上長距離界を風靡した中国の馬軍団は、深い漢方の知識を利用(悪用、でしょうね)していたことは有名な話。ドーピングが発覚した選手やコーチが「風邪気味だったので風邪薬を飲んだ」などと言い訳していますが、ナニ、まず確信犯であります。
ともあれ、ドーピングなどというものは特別な世界のものではない、そこらの薬局で売っている市販薬でも可能な世界だ、という認識を持つことが根絶の第一歩、でありましょう。
ご注意:エフェドリンは多用すると高血圧や血栓を引き起こし、最悪の場合は心筋こうそくで命を落とす恐れのある劇薬です。間違っても悪用なさらないようにお願いします。

完全休養の勧め>2003/5/12
丸々3週間ぶりにロードレーサーでまともに走ったら、これだけ間が開いたにもかかわらず体の切れが戻っていて驚きました。3月から4月にかけて、体重が3kg以上落ちて軽くなっている割に体が重たく感じていたところにひどい風邪を引き、夜になると体温が38度を超え朝方に下がる、という状態が1週間も続いたため思い切って自転車から離れてみました。
思えば、正月にひいたひどい風邪から後、体調が完全に戻っていなかったんですね。一緒に走るメンバーの中では私が一番遅いですから、無理をしていないつもりでも、疲労が蓄積していたんでしょう。
年齢とともに回復力は確実に落ちています。ついつい若いころのイメージを引きずって「休みの日だけしか走らないのに、疲れがたまるはずはない」と思いがちですが、練習に義務感を感じ始めたら、黄信号です。思い切って休んだ方が、長いスパンで見たら良い結果を生むこともあるのです。
あ(^0_0^)「酒を止めたら疲れないんじゃないのか」、という指摘は却下!

コレバインの落とし穴・アブナイ薬・1後日談>2003/6/9
高脂血症治療薬「コレバイン」を服用して5か月が過ぎました。強烈に効くのですが、やはり良いことずくめ、とはいかないようです。
体重が急激に減り始めたころから、疲れるのが早い、粘りがなくなった、といった印象が強くなりました。体重が落ちた割に、体が重たくて相変わらず坂はドン亀ですし平地だって、大したことはない。
詳しい人に聞くと、「コレバイン」は、脂と一緒に脂溶性のビタミン(AだとかDだとか)も奪っていくので、十分注意して補給する必要がある、とのこと。自分なりに補給はしていたつもりですが、日常生活には差し支えなくとも、運動をするレベルでは不足していたのかも知れません。奪われているのはそれだけでなく、様々な微量元素も失われているのかも、知れない・・・・。
春の健康診断での検査では、すべての項目が標準のど真ん中。絵に描いたような健康体、に戻っているのですが。