FIXEDの悦楽」「扉を開けたら」を執筆してくださった名古屋在のベテランNさんから、新たなコンテンツをいただきました。
折からの自転車ブームで、各地の自転車イベントは大賑わいだそうです。ちょうどこのコンテンツをいただいたころに開かれた大分県・国東半島を巡る「ツール・ド・国東」は、約3000人もの参加者で大盛況だったようです。残念ながら仕事との兼ね合いで、ここ5年ほど参加できずにおりますが、イベントが盛り上がるのは大変うれしいことです。ただ、参加するにあたってはマナーを守り、主催者側が決めたルールに従わなければ、事故を引き起こしてしまいます。
イベントに出るのはちょっと怖い、出るからには楽しく走りたい、そうした方のためのヒントになればと、お許しをいただいて掲載します。

<当日編>
最初からオーバーハイドレーション気味に
前夜からなるべくこまめに水を飲んでおきましょう。
6月のGF福井は蒸し暑く、7月末のGF吉野はひたすら猛烈に暑い。GF糸魚川は10月ですが、天候によっては暑い。ご承知のようにいちばん怖いのは脱水です。朝起きてからもこまめに水を飲んで、少しオーバーハイドレーション気味にしておくこと。
走り始めてから、あるいは喉の渇きを覚えてから水を飲んでも、それは無駄水(身体で利用されずおしっことして排泄されるだけの水のことを僕はこう読んでいます)になるだけです。前夜お酒を飲みすぎるとそれだけで脱水気味になってしまいます。前夜のお酒はほどほどに。

トイレ
どのイベントでもトイレの前は長蛇の列です。イベント会場に入る前にサービスエリアなどで、大便の方は済ませておきましょう。イベント会場から自転車で5分も走ると、どこかに公衆トイレがあることが多い。できればこういう自分だけの「秘密のトイレ」を探しておくと良いです。
もうひとつ、スタート前のセレモニーが始まるとウソのようにトイレは空きます。さらにスタートが始まると、トイレはガラガラになります。
長距離イベントではスタート直後の混乱を避けるために、10〜20人程度ずつが1〜3分おきの時間差スタートすることが多い(GF吉野、GF糸魚川)。このようなスタート方式のイベントでは、スタートがはじまってからトイレに行っても大丈夫です。どうせ7〜10時間も走るんだから、最初に焦っても仕方ありません。GF福井では同時スタートですが、何百人もの人がスタートするには5分以上もかかります。最後にゆっくりスタートすれば、スタート直後の集団落車にも巻き込まれずに済みます。

トラブルは出走直後に多い
集団落車は出走直後に起きることが多い。
鈴鹿8耐に出た時も、最初のごく緩い登りで集団落車が起きました。前が登りにかかって少しスピードが落ちただけで、後ろでは急ブレーキをかけないといけないほどの事態が起きてしまったのです。この落車で救急車が来るほどの事故になりました。
イベント初心者のあなたはとにかく最後尾から出発し、前との間隔を十二分に空けてください。最初の登りで脚のない人がどんどん落ちてきますから、焦る必要は全くありません。それに抜かれるよりも、抜くほうが精神的にもストレスは少ないです。 
メカトラも出走直後に多いようです。この中には輪行や車に積んで運んでいるうちに、サイクルコンピューターのセンサーとマグネットが離れてしまっていて作動しないというようなごくツマラナイものから、パンクまでいろいろあります。とにかく出走直後はそこここに地雷が埋まっていると考えてください。地雷原は静かにそして速やかに走り抜けましょう。

最初はゆっくり
イベントに出るとやっぱり興奮するんでしょう。いつものペースよりもかなり早いペースで走ってしまいます。最後まで持てば良いのですが、なかなかそうは問屋が卸さない。
とにかく脚切りに会わない程度でゆっくり。ハートレイトモニター(HRM)を参考にするのもよいと思います。とにかく中盤から後半で頑張れるだけの脚と心臓を残しておきましょう。

登りは頑張らない
鈴鹿8耐で最終ラップに福島晋一さん(Bonne Chance)が、参加者と一緒に走ってくれたことがあります。その時に「登りでは頑張ってはいけない。登るだけで身体には強いインパクトがかかっているのだから、それ以上に負荷をかけたらそれ以降の平地、下りで頑張れない」と教えてもらいました。
それまで登りで頑張っていた(頑張っても速く登れていたわけではありません)僕には、目からウロコの一言でした。それからはHRMを見ながら、そして自分に「ゆっくり、ゆっくり。焦るな、焦るな」と言い聞かせながら登るようにしています。
2009/5/17