持ち主に愛され、可愛がられていたバイクも長い年月のうちに壊れ、また、朽ちていきます。なかには良い持ち主に恵まれないままプロショップの隅で眠ったままのバイクもありましょう。
こうしたバイクのフレームが、何本か私のもとで復活の時を待っています。
狭い我が家にそうそうたくさんは置けないとは思いながら、何かの縁があっての邂逅です。ピカピカの新車時代、オーナーに愛されていたころの姿に少しでも戻してあげたい、と思っています。

<思い出の貴重品>2008/12/15
'90年代前半に一世を風靡したコルナゴ・マスターオリンピック(COLNAGO MASTER OLYMPIC)。日本にも数多く輸入されたので、今でも大切に保管している方も多いでしょう。
先日、某ショップに1台持ち込まれました。赤、フェラーリレッド1色塗りという大変珍しいものです。独特の凝った塗装がコルナゴ高級品の特徴ですので、何か曰くがありそう、話を聞いてびっくりしました。
オーナーは元商社マン。イタリア在住の際、取引先の社長が自転車愛好者で「お前も乗れ。面白いぞ」と誘われて自転車を造ることになったそうな。
どっかのショップでオーダーするものと思っていたら、何と! コルナゴの工房に連れて行かれてそのまま採寸、特別仕立てのフレームが出来上がった、という次第。
つまり、マスターオリンピックのオーダー品、だから色も選べたという贅沢な代物な訳です。これにエルゴになったC RECORDフルアッセンブルという超高級品。メッキに錆が食い込みパーツは光を失っていますが、塗装は生きています。ぜひとも良いコンディションに戻したい、と全ばらしで手入れをすることになりました。

<日本製チュービング!!>2008/12/15
さらに驚いたことに、「TANGE  COLNAGO」というステッカーが貼ってあるではないですか。特徴的なパイプのつぶしも通常(コロンバスパイプ)よりも短いようで、丹下(TANGE)製パイプであることは間違いなさそう。
フレーム単体の重量は1.75kg。丹下のパイプならNO.1かプレステージ。社長によるとNO.1の重量に近いらしいですが、シートラグやエンドに結構重たいものを使っていることや、プレステージには0.1mm肉の厚いものがあったこと、シールに「ULTIMATE」とあることなどから、多分プレステージではないか。ということらしい。
コルナゴといえばコロンバス(COLUMBUS)一辺倒だったと思っていましたが、90年代初めはあまり品質が良くなかったと聞きます。他社のパイプも使うことがあったということ。それもわざわざシールを作るぐらいですから、ワンオフではなく、かなり利用していたことが伺われます。
ただ、エキゾチックなイメージを損ないかねないので、日本には入ってきていないのではないでしょうか。

<ステッカー剥ぎは慎重に>2008/12/15
フレームにマンションのステッカーが貼られていました。例え室内保管でも、厳格にルールを適用するところもありますし、やむを得ませんが古い自転車の場合は要注意。
ステッカーを貼って何年も経過すると、無理にはがすと塗装も一緒にはがれてしまいます。特に下地にメッキがかかっていると塗装がはがれやすくなっています。このフレームは、ボトル台座面などから案の定、オールメッキと判明しました。
ステッカーをはぐのに一番良いのはドライヤーです。ドライヤーでガンガン温めてやると裏の糊が軟化してきます。そこでゆっくりゆっくり、はぎにくい、と思ったらさらに温めて糊の軟化を待って作業を進めるときれいに取れます。市販のステッカーはがしの薬品はあまりきれいにはがれませんし、塗装を傷めては何にもなりません。