2017年秋
毎年夏にしていた自転車の旅、寄る年波と暑さにやられ近年は車で伴走してくれる友人の甘いささやき「乗っていくか!?」に負けてしまっていた。今年はやや遅きに失した感もあるが晴れて定年老人(編注:70歳の節目を迎え、今年春に仕事を引退されました)となり気候の良い秋に旅をすることにした。

9月29日 河口湖〜西湖〜精進湖〜本栖湖  64km
午前8時半出発。晴れているが寒い。なんと14℃、あわててウインドブレーカーを着る。
河口湖大橋を渡り県道21号線を走る。途中、富士山モニュメントのある公園に立ち寄る。そこで55年前のHONDAドリーム250で旅をする同世代の男性と出会う。彼が18歳の時から大事に乗り続けているバイクだそうだ。先に出た小生を追い越していくときのバイクの音、振動がレトロで良い雰囲気。
河口湖を左に見ながら快調に走っていると、チームジャージに身を固めた外国人6人の集団に追い越し態に“着いて来い”と合図されたので飛び乗る。時速35km/h前後の快調なペースで河口湖とおさらばするといきなり峠、そこからは体重別にばらけてしまい、自分は彼らのジャマにならない位置をキープ。
ジャージの背中に「NEOMETRO」と記されていた。オーストラリアから日本の初秋を楽しみに来たのだろう(編注:Neometroは、オーストラリアの有名な建築家グループです)。
西湖への分岐点で彼等は待機したサポートカーに集合、お礼も言えず西湖(一周10km)に突入、ようやく気温もあがり待望の富士山も見えてきた。富士山ビューポイントで東京を朝4時に出てきた老夫婦(ここも同世代)に写真を撮ってもらう。
しばらく原生林(左側は青木ヶ原樹海)の中を走って精進湖(一周5.4km)をぐるりと回る。次は富士五湖最後の本栖湖(一周13km)。ここで世界をリカンベントで回っているフランス人の初老カップルに出会う。4年間かけてゆったり旅をするようでなんと優雅でバイタリティがあることか、ただただ感服あるのみであった。
国道139号線に出ると草原の中を下り基調で気持ちよく走れる。ただ大型トラックも勢いよく走っているのでビビリも入った。「道の駅朝霧高原」で車組と合流して昼食の打ち合わせ。
蕎麦屋に決め道路を指示されるが分かりにくく、脇道で迷っていると車がUターンして来て案内してくれた。
お店は「一閑人」、麺がなくなったら終わりで滑り込みセーフ。山口県の日本酒「東洋美人、雁木、獺祭」の一升瓶が置いてあったので、なんでかなと聞くと奥さんが山口県長門の出身だそうだ。納得。自転車はここで終了して、音止めの滝と白糸の滝を見て宿泊地の沼津へ。
夕食は沼津漁港、あっちこっち見て歩き「魚がし鮨」に入る。刺身、深海魚のにぎり、桜海老の巨大掻き揚げをつまみに、静岡県産ビールに日本酒をたらふく飲み酩酊、お店を出てすぐに約一名地球と勝負に相成った。

本日の走行データ
T 2:52
D 64km
A 22.3km/h

9月30日 沼津〜伊豆半島西側〜石廊崎 109km
午前8時半出発、駿河湾沿いを走る。
国道414号線から県道17号線に入ると雲の合間から富士山が見え出した。大瀬崎近くの富士山ビュースポットで地元のサイクリストと話をする。富士山は空気の澄んでいる冬の景色が良いとの事、見てみたいが冬は自転車じゃ辛いし、もたもたしていると自動車免許返納の年になりそうで先のことはわからない。
ここからの西伊豆は高低差100m〜300mのアップダウウンの繰り返し、海岸線を走っている感覚ではない。背中に荷物がないのがせめてもの救いで、時々風光明媚な所を通過するが楽しむ余裕がない。黄金崎クリスタルパークで車組が待っていてくれて道路向かい側で昼食、田舎の食堂でお婆さんが一人で給仕していたが天丼はボリューム満点、海鮮丼、まかない丼も中々の味だった。
少し先の黄金岬トンネルが工事中で信号機による対面通行だったので車で通行させてもらう(感謝→佐久間に寄宿し数日間技工と草刈りして帰ります。)
一箇所くらいは観光しとかなきゃと、松崎にある「なまこ壁」が特徴の明治時代に栄えた街並みに立ち寄る。
この先の峠は彫刻ラインとなって道路沿いにビーナスや天使風の像が点在するが、疲労のためか自然の中にこんなものを造って…と腹が立つ。
ようやく午後3時半最終目的地の石廊崎に到着。車に回収してもらい下田の連台寺温泉清流荘に直行、レトロな高級旅館を友人がネットで格安に予約しておいてくれた。今だからまだ良いが、風呂までの廊下が迷路のようで段差もあり足腰立たんようになったら来れんな〜と爺ばなしに花が咲く古希を迎えた3人の珍道中であった。

本日の走行データ
T 5:10
D 109km
A 21.1km/h

定年のない仕事をしていたが踏ん切りをつけ、辛うじて70の声を聞く寸前に辞めた。
暇になったと言えば確かにそうだが頭の中、いやいや心の中は右往左往している。
2017年度の日本人男性の平均寿命は81歳。能動的に動き回れる健康寿命は72歳らしい。個人差はあれど、もうちょっとでこの世とおさらばなんだろう。
ここからの下り坂をいかにすべり降りるか悩ましいところ、ただいま思案中。