風を切って息を上げて、心ゆくまで楽しんだら汚れを落として愛車の労をねぎらってあげませんか。
磨き上げられた自転車は、オーナーの愛着が感じられてとても気持ちの良いものです。反対に、いくら高級車に乗っていても薄汚れていたら、この人は自転車が好きではないんだな。と思ってしまいます。
ただ自転車をきれいにするだけじゃぁない。故障、トラブルを防ぎ、安全なサイクリングをするために愛車を長持ちさせるためにメンテナンスは欠かせない。
「メンテの神様」は絶対にえこひいきしません。5万円のクロスバイクだろうが100万円超のロードレーサーだろうが、きちんと手入れをする人だけに味方をしてくれるのです。

乾燥厳禁:チューブラーの手入れ>
絶対的に少数派になってしまいましたが、チューブラータイヤのしなやかさと軽快感はまだまだWOの及ぶ所ではありません。ただメンテフリーに近いWOに比べると手間を惜しむわけにはいきません。
何よりも大切なのは、タイヤの接着状態のチェック。
チューブラーホイールは、リムセメントと呼ばれる接着剤でくっつけているだけです。生乾きで強い接着力を持つ性質がありますから、乾いたら塗り直さなければなりません。そうそう簡単に乾くことはありませんが、長くても2年に1度は全面的に塗り直しです。
調べ方は簡単。空気が抜けている時に、タイヤをちょっと捻ってやる。リムに残っているセメントが柔らかければよし、パリパリになっていれば即塗り直し。この当たりの加減は何本かやってみないと分からないかも知れません。
塗り直しやタイヤ貼り替えの時に、セメントに湿り気が残っていたら上から新しいセメントを塗り重ねてかまいません。見てくれは良くありませんが、古い層が溶剤を吸って生き返ってくれるのでまだ使えます。ただしパリパリ、になったものはダメ。いらないマイナスドライバーなどでこそぎ落としてきれいにします。
カーボンリムは溶剤を吸うのかどうか、アルミリムに比べてセメントが痩せるのが早い気がします。多目に塗ってこまめなチェックを。
最近良質の専用接着テープが出ているのでそれも良いかも。
また、まれに接着面ではなくタイヤの縫い目を隠している布(通称ふんどしとかヘコとか)が剥がれてくることがあります。大変危険ですので要注意です。
2011/8/5

仕業点検:タイヤチェックのキモ
…今時「仕業点検」という言葉を知っている人は、運輸業とか運輸行政に関わる人ぐらいではないだろうか。気になって調べてみたら、乗用車などの点検義務もずいぶんと緩やかになってるんですね。まぁ今時の車、毎日ボンネットを開けて点検しなけりゃいかん、なんてことは全然ない。
けれども、ことロードレーサーに関しては今でも最重要事項。特に乗る前のタイヤチェックは絶対、と言っていいでしょう。エアを入れた後、前後輪ともぐるりと回して、膨らんでいるところはないか、コードが擦れているところはないか、十分な確認を!
タイヤの一部が膨らんでいるのは、内部のコードが切れているということ。バーストに直結します。外側のコードが擦れているのも進行して内部コード切れを引き起こします。軽量化や転がり抵抗を優先した高級なタイヤほど、コード切れが起こるとバーストしやすい。とにかくタイヤには常に高圧がかかっている、ということを忘れないようにしましょう。
2011/9/18

お役ご免:平たくなったら交換
タイヤは乗っているうちに減ってきます(当たり前)。当然、ある程度以上減ってくると性能も悪くなってくる。これはWO、チューブラー、チューブレスなどタイヤの種類を問いません。
たとえばグリップが落ちるとか乗り心地が悪くなるとか、走行感が重くなる、とかですが、人間の感覚って不思議なもので、ずっと使っているとなかなかそのことに気付かない。どっかで踏ん切りを付けて交換した方がトラブル防止にも効果があります。
ひとつの目安として、トレッドを指先で撫でてみて平らになっていれば交換。トレッド下のコードが見え始めたらこれも交換。コード切れや一部の異常なふくらみも当然交換ですね。
難しいのがゴム表面のひび割れです。浅いひび割れはそう神経質になることはありませんが、まんべんなくひびが広がり、ゴムに弾力が欠けているような気がしたら交換ですね。
寿命は、ブランドやグレードにもよるので一概には言えません。高級なタイヤほど消耗が早く3000km程度。シュワルベの最高級タイヤは多分そんなにもたない。中級グレードのものでも5000kmあたりでしょうか。
2001/9/18