1926年、先代ファリエーロ・マージが創業。1949年にミラノの自転車競技場「ピスタ・ビゴレリ」の観客席の下に工房を移します。現在はここで火を使うことを禁じられているとのことで、実際の制作は別の場所で行っているそうです。

 

 ファリエーロの自転車はフィレンツォ・マーニ、ジャック・アンクティル、ファウスト・コッピらが使用しています。かのトーリオ・カンパニョロもmasiに乗っていたとか。

 

 

 

 先代の手になる「グラン・クリテリウム」が有名です。息子アルベルトに譲るとき、「グラン・クリテリウムは息子には造らせない」と言ったらしい。それだけ思い入れがあるんでしょうね。
 ところが、息子アルベルトのサインが入ったmasiがあるのだそうです。貴重品。

2代目アルベルト(右)と南米・藤井社長(ビゴレリの工房で)

 アメリカにも「masi」というメーカーがあります。アメリカに渡った弟子に「masi」の名前を使うことを許したのが始まりです。暖簾分けですね。
 ファリエーロもかなりの期間、アメリカに滞在していたとか。ただ、現在はまったく別の資本に買い取られていて、何の関係もありません。
 商標だとかブランドとかには厳しいお国柄のため、アメリカでは本家は「masi」を名乗れません。「MILANO SPORT」のブランドで輸出しています。
 「masi」が使えないのは徹底していて、2年ほど前にアメリカの雑誌が本家を特集していたのですが、アルベルト本人でさえも「Alberto」とだけ表記。「masi」の文字はどこにも見えなかったですね。 

 当代のアルベルトは、2代目。16歳にしてプロチームのメカニックを務めたといいます。2000年現在、58か59歳のはず。まだまだ働けますよね。

 アルベルトには息子がいません。お嬢さんが1人いて、英語を話せるので渉外担当をしてくれているようです。後継ぎがいないので、アルベルトが「や〜めた」と言えば、もう手に入らなくなります。

 日本に入る絶対量が少ないので、古き良き保守的なチクリという印象を持つマニアも多いようですが、実際には大変先進的なところです。tig溶接をイタリアンロードで最初に取り入れたり、オーバーサイズのパイプを最初に使ったのも、マージです。60年代後半に、6kgを割るピストを製作するなど、昔から先進性が特徴だったのです。

 先進性を物語るひとつに、パイプの選定があります。ひとつのメーカーや国産(イタリアのことね)にこだわらない。現在、鉄フレームはデダチャイ・ゼロですが、その前はフランスのエクセルでした。おやぢのファリエーロは、イタリア中のチクリがコロンバスを使っていた時にレイノルズばかり使っていたし・・・・。
 南米の社長は、アルベルトから直接、当時、いかにエクセルが優れているかの説明を受けたそうです。
 万力でつぶすとコロンブスのパイプがパキッと割れるのに対して、エクセルはつぶれはするものの、最後まで割れない。外はヤスリがかからないほど硬いのに、中は削れるほど柔らかい。こうした素材が理想なんだそうな。
 最近のKET処理やタフラム処理に通じるものがあるでしょ?

 masiのヘッドマーク。時代ごとにかなり変遷しています。イタリアの工房は、結構ヘッドマークを変える事がありますが、それでもどこかイメージを残すものですが、masiに関しては・・・・。ご覧あれ。
 最近、新しいヘッドマークが登場、従来のクラシックなヘッドマークはなくなった、と思っていましたが2001年4月に入荷した4台のうち、2台にこの旧マークが復活していました。新たに造ったにしては残りの2台のが違いますし・・・。理由はよく分かりません。多分、どこかに放っておいたのを見つけて取り付けたのかも・・・・?