スポーツとして自転車に乗る人が増えています。
メタボ対策、地球温暖化、原油価格の高騰etc 環境と健康に優しい自転車の良さを知っていただくのは中学生のころからサイクリングに染まっていた間もなく老人としては大変嬉しいことです。
ただ、自転車、特にロードレーサーは一般に考えられているよりはるかに速い乗り物です。公道を走る以上、常に危険と隣り合わせであることを忘れては困ります。信号無視をはじめとする交通ルールを守らない行動は、自分がケガをするだけでなく、人様を傷つけてしまうことになりかねません。車やオートバイなどと一緒に道路を走る交通社会の一員として、上手に走るノウハウを覚え、マナーを守って走ることが、社会の自転車に対する理解につながると信じています。
ここで紹介する事柄は、あくまで公道上で事故を起こさないためのノウハウやマナーです。競技としての走り方と一致するとは限りませんので、その点を十分ご理解下さい。速く走るだけが能じゃない。社会においては「
無事之名馬」なのです。


何より大切な姿勢(楽しく下ろう編・1)
下り。
楽しんでますか? 安全に気持ち良く下れれば自転車の醍醐味は5割増し、ですよね。
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左のフォーム、まったく力が入っていない。素人サイクリストには、お手本のようなフォームです。モデルは親孝行の登録選手。あるイベント終了後の移動で下っているだけなので、本人にとってはただ単に流しているだけですが、ビギナーには大変参考になるショットです。
(1) ペダルの位置
基本中の基本。コーナー内側のペダルを上げ、外側を下に、踏ん張るイメージを持ちましょう。これは右コーナーですから左足をしっかりと踏ん張っています。これだけでびっくりするほど自転車が安定します。
(2) 体重移動(腰)
腰がきれいにサドルの上で体重移動していますね。このコーナー、大変きつい下り右カーブなのですがハンドルはほとんど切れていません。
自転車が曲がるのは、ハンドル操作ではなく体重移動なのです。
重心を右に傾けることでスムーズに曲がっているのが良く分かります。決してハンドルを切るイメージを持ってはいけません。腰です。腰。(^_^;)
ハンドルって、単にバランスを取るためだけに付いているんです。実は。
(^_^;)
(3) 視線
コーナーを抜けた先を見ています。車体の傾きに対して首が立っているでしょ? 近くの路面は視野に入ってはいるけれども、視線は遠くにあります。これらのおかげでとっさの反応が可能になります。
それと、自転車って視線が向いた方に進むんです。コーナーで怖がって外を見ると、外にふくらみますよ。
2008/9/25

はみ出し厳禁(楽しく下ろう編・2)
下手っくそな絵ですいません。
m(_ _)m
図で説明した方が分かりやすいので、我慢してお付き合い下さい。ちなみに図の道路は、対向車線を含んだものではなく走行車線、実際の道路幅の左半分だけを描いたものです。理由は以下の通り。
対向車線はみ出しは厳禁

公道を走る以上は当たり前のことですが、ついつい調子に乗って対向車線にはみ出していませんか? そんな走り方をしていると事故の危険がふくれあがるだけでなく、万一、人身事故を起こしたら大変な賠償責任を負うことになります。
自転車は、「軽車両」です。交通事故を起こすと車やバイクと同じ責任を負わなければいけません。ちょっと前までは、割と大目に見てもらえていましたが、何ぁんも考えとらん奴らが加害事故をたくさん起こしたため、本来の姿に戻りました。
人身事故を起こして、現場検証のお巡りさんから「じゃぁ貴方を第一当事者として立件しますからね。後で呼び出しがあるから警察署においで」と、言われたら「貴方のせいで事故が起きたのだから、少なくとも半分以上の責任を負いなさい」という意味です。対向車線はみ出しなら、言い訳はいっさいできませんね。被害者に対するケアや事故処理にかかる膨大な手間、相手方に対する損害賠償(車相手で10〜100万円単位、人間相手なら3000万円〜ん億円単位)など多額の出費を覚悟しなければなりません。
2008/9/25

アウト・イン・アウトはあくまで理想(楽しく下ろう編・3)
雑誌などでは、「アウト・イン・アウトでコーナーを抜ける」と書いてあります。貴方ひとりが公道を下っていて、後続の車も対向車も歩行者もいないなら、その通り。
残念ながらサイクリング中にそんな場面はありません。右の図は左コーナーですが、赤のラインを格好良く走ったつもりでも、後続車からは単なる迷惑。上の右コーナーの図でも、対向車からは無謀な下り方に見えてしまいます。
アウト・イン・アウトの意識は持っていた方が、スムーズに走れるのは確かですが、実際のラインはもっと緩やかなラインを取った方が安全です。
また、左右2車線もない狭い下り、ブラインド、というような条件では、イン・イン・イン、アウト・アウト・アウトで走らないと危険です。むしろこっちが多いのではないでしょうか。まぁシチュエーションによって自在なラインを取れるぐらいのスピードで走ることが安全につながる、ということです。
2008/10/1