スポーツとして自転車に乗る人が増えています。
メタボ対策、地球温暖化、原油価格の高騰etc 環境と健康に優しい自転車の良さを知っていただくのは中学生のころからサイクリングに染まっていた間もなく老人としては大変嬉しいことです。
ただ、自転車、特にロードレーサーは一般に考えられているよりはるかに速い乗り物です。公道を走る以上、常に危険と隣り合わせであることを忘れては困ります。信号無視をはじめとする交通ルールを守らない行動は、自分がケガをするだけでなく、人様を傷つけてしまうことになりかねません。車やオートバイなどと一緒に道路を走る交通社会の一員として、上手に走るノウハウを覚え、マナーを守って走ることが、社会の自転車に対する理解につながると信じています。
ここで紹介する事柄は、あくまで公道上で事故を起こさないためのノウハウやマナーです。競技としての走り方と一致するとは限りませんので、その点を十分ご理解下さい。速く走るだけが能じゃない。社会においては「
無事之名馬」なのです。

自転車は、いつかは止まらなければいけませんな。この当たり前のことが意外に難しい。下手な止め方をするとコケることだってあります。「真っ直ぐ走る」と同じぐらい大切なのが「確実に止まる」。ユメおろそかになさいませんよう。
と、いいつつ、この項、初めての方に役立つのはごく一部。大半が下手の繰言、独断と偏見になりそうな気がするのであらかじめお詫びしておきます。

前が8割(ブレーキ編・1)
自転車は前ブレーキで止め(減速)ます。後ろはおまけ程度にしか役に立ちません。
初めのころは、前ブレーキを引くと前輪がロックしそうな気がしたり、前転が心配で、ついつい後ろブレーキに頼ってしまいがちです。ブレーキを掛けると後輪のグリップが少なくなります。そんなときにいくら後ろブレーキを引いてもまともに減速しません。下り坂は特にそうです。
慣れてくると、流している時など後ろブレーキはほとんど使わなくなります。緊急を要する時、完全に停止する時、下りの姿勢制御の時、ぐらいですかね。後ろブレーキを引くのは。とはいえ、万一、前ブレーキがトラブルを起こした時、頼りになるのは後ろだけ。いつもきちんと整備しておきましょう。
「前ブレーキを掛けるのは怖い」と思われる方は、ブレーキを掛ける瞬間、腰を少し後ろに引く感覚を持ちましょう。重心をほんの少し後ろにずらすイメージを持てばそれだけで大丈夫です。
それと、レバーを力任せに握りつぶさない。シューがリム面に当たった瞬間がわかるような握り方をすればいきなり前輪がロックしたり滑ったりはしません。
2008/11/28

カンパとシマノ(ブレーキ編・2)
2大部品メーカーのカンパとシマノ、一番違うのがブレーキフィーリング、という話題が良く出ます。
カンパは、握り込むほどに制動力が増してくる。ガツンと来ない代わりにジワジワとリニアに利く。シマノは握った瞬間、ガツン、と強烈な制動力を発揮する。その代わりにさらに握り込んでも二の矢がない。
今に始まったことではなく、大昔のレコードなんかでも同じ印象があります。
私のように、元々ない反射神経が年とともに衰えるばかりのような人間には、カンパの方が余裕を持ってブレーキを掛けられる。が、うまい人は、下りなどでもブレーキングポイントで一発でガツンと利かせてコーナーをクリアできる。どちらが良い、という話ではなくて、考え方の違いなのでしょう。
さらに脱線すれば、これは命を預けるパーツです。パーツのグレードアップを考える時は、真っ先にブレーキを検討してください。見栄えのする変速機やチェンホイールに目が行きがちですが、そんなところはどーでもよろしい。台湾製の安いブレーキよりも、シマノかカンパが絶対によろしい。
2008/11/28

リアブレーキを外すバカ(ブレーキ編3)
あるプロショップで、「前後ブレーキをきちんと付けてピストを納めたのに、後ろを外して乗っている」と頭を抱えているという話を聞きました(南米商会ではないですよ。何せ前後ブレーキがそろっていない自転車は出入り禁止ですから)。どうやらその筋の兄ちゃんたちは、後ろブレーキを付けるのはかっこ悪いというらしい。
fixedのリアブレーキの役割がわかっていない。fixedのリアブレーキというのは速度を落とすためのものではなくて、足の回転を止める補助をするものです。彼らは後輪を浮かし、滑らせて止めるから大丈夫と思っているらしいのですが、そんなんで止められるなら前もいらんめぇもん。自信がないから前ブレーキは付ける癖して、後ろ付けるのはかっこ悪い、なんて、それこそカッコ悪い。
といって、いっそ前後ブレーキなしで乗るのなら根性ある、とけしかけているわけではありませんぞ。それは単なる「バカ」です。
(*^_^*)
2008/11/28