自転車の趣味にはまってしまった人なら、誰でも憧れるのがフルオーダーの自転車。体格、走力、趣味に合った自分だけの1台というのは何ものにも代え難い魅力です。昨今のクロモリブームで昔ながらの職人さんが誂えるオーダーフレームは大変な人気だそうで、ブランドによっては1年以上待たされることも当たり前、どころか受けてもらえたら幸運とまで言われています。
ともあれ、いつかは乗りたいオーダー自転車。それなりの金額を
はたくのですから「こんなはずじゃなかった」と後悔はしたくないものです。

スケルトンの基礎知識・2トップチューブ長とシート、ヘッド角>
トップチューブ長
シートチューブ長と並ぶ主要な要素。体格と実力に密接に関係するので調整の幅はほとんどなし。シートチューブ長よりもこちらを重要視した方が良い、と思う。
これもシートチューブ長と同じで、初めての方は短い方が楽、と思われるようですがが、ベテランになるほど長めの寸法を好む人が圧倒的に多い。そっちの方が疲れにくいし、疲れてからの取り回しが楽なんよね。
長距離が楽 長い短い 取り回し易い
剛性高い
シート角
ペダリングと密接に関係する寸法。重心とトップチューブ長の確保のため、小柄な人用は角度が大きく(立った)、大柄な人用は角度が小さい(寝た)フレームになります。いずれにせよ2°前後の差しかありませんが。
高速
一定速
取り回しにくい
きつい
立ち大立ち小 低速
緩急に対応しやすい
振り回せる
疲れにくい
競輪、トライアスロン、TTマシン、などが立っている代表。ランドナー、キャンピングなどが寝ている代表。ロードレーサーはその中間。何となく分かるような気がしませんか?
ヘッド角
これもトップチューブ長確保の関係であまり調整の幅はありません、が、これはもっと大事な寸法要素「トレイル」と密接に絡んでいて、これだけを云々してもあまり意味はありません。別項で改めて。
2011/6/19

スケルトンの基礎知識・3ハンガー下がり等>
フレームの下の方の寸法は、左写真をご覧になれば分かるようにホイールやクランクの位置関係が決まってくるために、大変重要な部分です。
前後輪中心の間隔はホイールベース。
BB中心から後輪中心までが「リア・センター」
BB中心から前輪中心までが「フロント・センター」
前後輪中心を結んだ水平線からBB中心まで垂線を伸ばした寸法が「ハンガー下がり」です。
自転車の挙動特性は、これらの寸法によって大きく左右されます。どの寸法も長くなると基本的に穏やかな性格になり、短いとキビキビした取り回し感になります。
さて、ひとつひとつ見ていきましょうかぃね。
ホイールベース
安定感や取り回しに関わる部分。車種による長短の関係を見ると
ピストロードレーサーランドナーキャンピング
という具合になります。これだけで細かい説明は不要かも知れませんね。
直進性強い
安定感
疲れにくい
キビキビ感
動きやすい
神経質

リア・センター
これもホイールベースと性質は基本同じ。ただ、ここは変速性能とも関わってくる部分。まぁ最近の変速機はとても優秀だからあんまり神経質になる必要はないのかも知れません。
安定感
乗り心地良い
キビキビ感(掛かる)
乗り心地悪い
登りやすい
フロント・センター
取り回し易さや安定感に大きく影響する部分です。あんまり短くしてしまうと車輪がシューズに当たりまっせ。(^^;)
安定感
乗り心地良い
疲れにくい
キビキビ感(反応が良い)
登りやすい
リア・センターとフロント・センターは重心位置とも深く関わっています。したがって一方をどちらかを極端に長くしたり短くしたりはできません。許容範囲の中でどう割り振るか、って話ですね。それとこれらの特徴は、後で紹介するトレイルが一義的に利いてくるものが多い。ということを頭に入れておいて下さい。
ハンガー下がり
安定感や掛かりの良さに大きく関わる部分。車種による大小の関係はホイールベースと同じです。
安定感
もったり
疲れにくい
大きい小さい 登りやすい
キビキビ感(反応が良い)
硬い
ヒルクライム専用マシンを造りたいなら、(大事なトレイルを持ち出すと話がややこしくなるのでちょっと置いといて)ハンガー下がりを小さく取ってホイールベースとリア・センターを短めにすると良く登るフレームになります。ただし、こんなフレームを平地で6時間乗って見ろ、といわれたら辛いと思います。逆に平地を長く乗りたいならハンガー下がりを大きく、ホイールベースやフロント・センターをたっぷり取ってやると楽ちんフレームの出来上がり、ただ登りのスピードはあきらめんといかんが。
2011/6/19