自転車の趣味にはまってしまった人なら、誰でも憧れるのがフルオーダーの自転車。体格、走力、趣味に合った自分だけの1台というのは何ものにも代え難い魅力です。昨今のクロモリブームで昔ながらの職人さんが誂えるオーダーフレームは大変な人気だそうで、ブランドによっては1年以上待たされることも当たり前、どころか受けてもらえたら幸運とまで言われています。
ともあれ、いつかは乗りたいオーダー自転車。それなりの金額をはたくのですから「こんなはずじゃなかった」と後悔はしたくないものです。

クランク・遊んでも面白い>
カンパやシマノのコンポーネントを使えば、性能面に限ればパーツ選びに悩むことはありません。予算次第。ですがもし、少しでも人と違ったものをとお考えなら、クランクセットを変えることをお勧めします。
セットになっているものを他のブランドに変えると性能は落ちます。でもバリバリの競技者ならともかく、趣味で自転車を楽しんでいるレベルの方には、性能の低下が影響しない。というかまず関係ない。実際、コツはあるけれども同じクランクセットを使って8〜11速まで意外に変速するもんです。その割りにバイクのイメージはかなり変わるので、パーツ遊びにはもってこいというわけ。
これは私見ですが、パイプの細いスチール系ロードバイクには、回転中心がはっきり分かる製品の方が似合う見える気がします。
近年のシマノは軸を見せないデザインのせいででどーにも落ち着かない(私は)。
クランクセットは、たくさんのサードパーティーが手がけています。普及価格帯の完成車に付いている台湾ブランドをはじめ、フランスの老舗T.A.やストロングライト、イタリアのPMPやミケなんかも手に入るのでしょうが、お勧めは日本製のスギノ。競輪用クランクではシマノと人気を二分し、精度が良く仕上げも合格点、値段もこなれています。
2013/1/2

レトロ・時代考証がかなめ
最近のパーツを使って組むだけでなく、古いパーツを使ってその時代の雰囲気を味わう、ってのもスチール系バイクならではの楽しみ方です。なんせ、自転車が生まれてこの方、スチール系バイクだけが連綿と造られているのだから。
幸運にもカンピオコルサやパリ・ルーベの変速機とリアエンドがセットで手に入ったら'40〜'50年代のスケルトンで造ってもらって、バルタリやコッピに思いを馳せる、とかですな。
そこまで凝らずとも'90年代のパーツをオーバーサイズのパイプでフィレット仕上げのフレームに組むとか、6速時代のカンパで組んで当時のチューブラーリムを履かせるとか、それぞれに渋いバイクに仕上がると思う。
こうした旧パーツ遊びをやる時は「時代を合わせる」ことが肝心といいます。
一般には、各パーツの時代がまちまちだったらチグハグに見えるから、と思われていますし、まぁそういう一面はあるが、本当の理由は時代の違うパーツを組み合わせるのは、新しい方も古い方も本来の性能が発揮できないことが多いから。場合によっては危険な場合さえある。
'70年代に使われていたマファックのセンタープルブレーキ、これを今のリムと組み合わせたら効きません。ところが同時代のスーパーチャンピオンあたりを付けるとちゃんと止まるんですな。材質の硬さなんかが微妙なバランスを保っておる。
パーツ同士だけでなくフレームとパーツ間でも同じで、現代のダブルピボットサイドプルブレーキを、古い時代の細いフォークに取り付けてはフォークが負けて危ない。いずれにせよ、レトロパーツに手を出すのは究極の火遊びなので、普通の方にはお勧めしませんが。
2013/2/9