新しいパーツやメーカーの噂、非力なローディーの試乗記、複雑怪奇なパーツの互換性をクリアする方法etc・・・。自転車雑誌やプロショップでは相手にされないお話を集めてみました。随時更新します。
 ただし、あくまで「噂」と「裏技」です。眉にツバを付けてお読みください。安全のためには「裏技」はお試しにならないほうがよいか、と(^^;) 思います。
(2016/10〜11)

深遠な車輪の話・5>2016/10/22
「結線」というのをご存じですか。
スポークの交差部分を縛ってホイールの剛性を上げる方法です。
完組ホイールが当たり前になって、すっかり見かけなくなりましたが競輪界では、今でもごく当たり前に行われています。
縛る材料は細い針金や銅線、テグスなど処理する人の好みで様々ですが、巻いた上からはんだで固めることが多いですね。
自転車の一般的な車輪は、スポークの張力でリムを支えています。つまり地面に接している時は車軸より上のスポークで吊り下げられている(加重は上のスポークが受け持つ)ことになります(テンション構造)。なので回転と共に、スポークが撓むことは避けられません。まぁこれが乗り心地の良さにつながっているんだけどね。
その撓みを強制的に押さえてしまえ、というのが結線処理の目的。この処理をするとコーナーでの挙動が安定するだろうな、というのは直感的に分かるけど、進行方向にもすごく硬くなって加速感がうんと良くなるそうです。
横道にそれるけど、んじゃぁ撓まないようにしてしまえばいいじゃないか、という考え方で造られたのが、スポークのハブ側も固定してしまってリムに突っ張らせて(車軸下からも)支える「コンプレッション構造」。ライトウエイトやコリマなんかがやってますな。
マビックのR-SYSなんかもこれに近い。これを究極まで突き詰めたのがバトンホイールやディスクホイールね。だったらなぜ、剛性の高いコンプレッションが主流にならず未だにテンション構造が廃れないのか、という話は、横道どころか裏路地のラビリンスに入り込んでしまいそうなので、また今度。
ところで、これ振れ取りはどうするんだろう? とお悩みのあなた。心配ないそうです。結線からリム側だけでちゃんと振れ取りできるそうですよ。

両輪駆動バイク>2016/11/19
古い朝練仲間が、変なバイクを持ち込みました。
ご覧の通り、前輪も駆動する両輪駆動バイクです。
普通の駆動系の反対側の後ハブから、チェンを取り回して駆動力を前輪に伝えるのですが、ハンドルが切れるようにちょっとした仕掛けが付いています。下の写真をご覧いただくとおわかりかと。頭、いいねぇ。
近場でちょい乗りさせてもらいましたが、前から引っ張られるような、どこかフワフワとした独特の乗り心地。ダートの下りはオン・ザ・レール。本格的に下ったら楽しいだろうな、と思いました。17kgほどあるとかで、さすがに持つと重いけどちょっとした登りだとあんまり気になりませんでしたよ。見た目通り、雪や泥でもしっかりグリップして平気で走れるとか。
このバイク、日本の企画、台湾で生産されて販売されましたがあんまり売れなかったようで、今では入手困難だそうです。

深遠な車輪の話・6>2016/11/19
さて、名古屋のNさんが南米商会に持ち込まれたオロ10のホイール。さっそく手に取ったnagi師匠の顔が微妙。
? と思って私も手に取ってみると、すぐに微妙な顔の理由に思い当たりました。15/16のバテットスポークを使ってるんですね。
これ、両端が1.8mm、中ほどが1.6mmでロードバイクだけでなく競輪用スポークとしてごく普通に使われているものですが、32H、36Hなら大丈夫でも、28Hだと本数が少ない上に、1本が受け持つ荷重が大きいので強く張れません。ご本人はあまり感じていらっしゃらなかったようですが、ヤワだしすぐに振れてしまいます。
幸いというか、「誰が組んだか分からない車輪は怖くて乗れない」とのことでスポーク張り替えになりました。
スポークは太ければ良いというものでもなく、リム強度とのバランスを考えないと、今度はリムが負けて振れやすくなってしまいます。
でnagi師匠が選んだのは両端も真ん中も1.8mmの15番プレーン。真ん中がたった0.2mm太くなっただけなのに、驚くほど強く張れてしっかりした車輪に生まれ変わりました。幸いリムに妙な癖もなく、きれいに張れたとのことでこの辺の話は、南米ブログに師匠が書いていますから参考にして下さいな。