新しいパーツやメーカーの噂、非力なローディーの試乗記、複雑怪奇なパーツの互換性をクリアする方法etc・・・。自転車雑誌やプロショップでは相手にされないお話を集めてみました。随時更新します。
 ただし、あくまで「噂」と「裏技」です。眉にツバを付けてお読みください。安全のためには「裏技」はお試しにならないほうがよいか、と(^^;) 思います。
(2017/1〜)

過当競争の果て・オマケ>2017/1/14
シマノが手元変速システム「STIレバー」を売り出したのは1991年のこと。ロードレースばかり見ているとレースシーンでアドバンテージを取るために開発されたと思ってしまいますが、そういう一面はあったにせよ、長い開発の歴史の中には別の意図が隠されています。
STIレバーの直接の先祖は1983年の「SIS」システム。ベテランの方はご存じでしょうが、各段のシフトレバーの位置が決まっていて、カチカチと段階的に変速します。自動車のマニュアル変速機のイメージね。それまでは変速位置の手がかりがなく、乗り手の感覚だけが頼り。まあバイオリンやトロンボーンの演奏を想像してもらうと良いかも。旨い下手がなくなりました。
これ、さらに遡ると’70年代のジュニアスポーツ車に搭載されたシフトレバーに行き着きます。トップチューブに取り付けられた自動車の自動変速機用のようなでっかいレバーを操作して、SISと同様、カチカチと変速します。
スポーツバイクで一番難しい変速操作を簡単にして取っつきやすくしたい、という願いがあったのですな。実に20年余、粘り強く開発を続けてものにしたシマノの開発陣には頭が下がります。
(普段、シマノの悪口ばかり言っておるが、ありゃ商売のやり方について、だかんね(^o^)、あ、デザインセンスも)
(*^_^*)
STIレバーの普及はスポーツ自転車界に大きな変化をもたらしました。女性のファンが世界的に急増したんです。
前傾姿勢が強く取り回しがクイックなロードレーサーで、どこで変速するやら見当も付かんレバーを操作するために片手を離すなぞ、運動経験の少ない女性にとっては、曲芸に近い。それが解消されて、風になる楽しさが誰でも楽しめるようになったのですからね。女性ファンが増えれば、男どもが付いてくるのは道理。奥さんを味方に付ければ、旦那用ももう1台増やせるかも知れんし、子供と一緒に楽しむこともできる。'90年代から延々と続く自転車ブームの隠れた理由です。
さて、ここまで書くと勘の良い方はおわかりでしょう。シマノやカンパが電動変速に執拗にこだわる理由のひとつが、そこにあります。手元変速で便利になったものの、ワイヤによる機械式操作だと、非力な女性は長時間のサイクリングで手指が辛い。スイッチ一つで変速できるならそれに越したことはないというわけ。
自転車関係のマスメディアはレース偏重で、スポーツ用機材はプロ用に開発され、プロが使うもの最高! としか読めない紹介があふれています。一面そうかも知れんが、開発陣の意図は別のところにあることもママあるような気がするんですがね。

木製ロードバイク>2017/2/17
南米商会出入りのベテランサイクリスト、もみじさんは、何でも手作りしてしまうとてつもなくマニアックな方です。これまでにも何度か登場していただいていますが、今度は木製ロードバイクをスクラッチビルドしてしまいました。
製作の様子は、ご本人のブログに詳しいのでそちらをご覧下さい。シートチューブとヘッドは竹、フォークだけはカーボンの既製品で、他は木製。それも板を単純に張り付けているわけではなく、例えばトップチューブは細く裂いた竹を炙って真っ直ぐに伸ばした上で何本も束ね、マホガニーなど他の木材と貼り合わせてあるんですね。大変手間のかかったコンポジットで、ご本人は「二度と造らん」とおっしゃっていますが…。
最初はラグ部分の強度が足りず、グラグラだったそうですが、手直しを重ねてちゃんと乗れるようになったとか。
試乗を勧められたのですが、サイズがかなり違うこともあって辞退申し上げました。ご本人は先日も長崎でサイクリングを楽しんできたそうで(たいてい好奇の目にさらされたでしょうな)、普段も通勤に使ったりしているようです。

#14スポーク>2017/2/25
MASI TIGに使っていたノーマルホイールが加速時にねちっこいフィーリングがひどくなりました。マビックSSCにDTレボリューション(1.8mm×1.5mm)の組み合わせで、犯人は多分スポーク。DTレボリューションは、他に2セット使っているけどどちらも実測で2.0mm×1.6mm。2種類あるうちの重い方なのでヤワな感じはありません。私の体重に、レボリューションの軽い方では無理があったみたい。
スポークを張り替えてもらうことにして選んだのが#14プレーン2.0mmという、今どきロードバイクに使うんかい、と言われそうな太さ。ブランド爺としてはホイールスミスかサピムか、と考えたのですが背の低いパイプリムに適合する長さの製品は少なく、選択肢は国産のホシのみ。まぁ、日東と同じでね。品物は明らかにこちらが上。
先日の朝練で乗りましたが、これほどまでフィーリングが変わるか、というくらい剛性が高い。TIGにはこれとニュークリオンを併用していますが、ニュークリオンはリムの剛性で持っている感じなのに対して、こちらはスポークの剛性で回っている感じ。nagi師匠の極限まで振れ取りを追い込んだ競輪クオリティのおかげで、いかにも真円度が高くセンターがしっかり出ていることがわかる、良く回るホイールに変身しました。ついでにフレームがこれまでよりもヤワに感じたのにもビックリです。
スポーク本数が多い分、完組ホイールに比べて速度域が上がると辛いけれども、サイクリングをする分には十分です。

前下がりステム>2017/5/5
性懲りもなく新調したデ・ローザのアルミフレーム「スカンジウム」で採用したデダ・ゼロ100。70°バージョンで、ほぼ地面と平行、スローピングフレームに対しては前下がりに見えるステムです。
パーツ移植元だったアイドルや、キングRS Actionはヘッドパイプ長が110mmなのに対して、フルオーダーのスカンジウムでは、最低121mmという制限があって、パーツ移植元のアイドルに使っていた82°ではハンドルポジションが出なかったため交換を余儀なくされました。
ポジション出しのキモは、実はハンドル高。
妙にフレームが小さいくせに、とんでもなく長いステムを付けているプロ仕様バイクを雑誌などでご覧になったことがあるでしょう。今どきのロードフレームは、ヘッドパーツとの兼ね合いもありヘッドパイプがあまり短くできません。
プロでも市販品を使うのが当たり前になっていて、スケルトンオーダーなぞまずしてくれません。手の長い欧米人がポジションを出すためには小さい(したがってヘッドパイプ長が短い)フレームに、長ぁ〜いステムを使わざるを得ない、というわけ。乗りにくいだろうけど、そこはプロだかんね。
これ、手の短い日本人がマネすることはありません。ヘッドパーツとステムがピッタリとくっついていれば、ジャストサイズと考えてほぼOK。サドルが高く上がっているより、こちらが決まっている方が自転車がスタイリッシュに見えます。
スペーサーを何枚も噛まさないとハンドル高が決まらない場合は、フレームが小さいことが多く再考の余地ありです。もちろんトップチューブの長さとの兼ね合いはあるんだけどね。