自転車を担ぐ 
 「自転車をかついで山に登る」「自転車を押して山道を行く」「自転車と共に山中に分け入り道なき道をやぶこぎをして行く」 皆さんは何をバカなとお思いでしょうが、ここはひとつ私の話を聞いて下さい。
  話は30年前、私の学生時代(長崎大学サイクリング部時代)に遡ります。いつも昔の話に遡るのですが、何せ坂登るのが好きな男ですから。 そのころの私の目標のひとつに、長崎県のすべての道を走破するというのがありました。国道、県道、市道はもちろん、農道、林道さらに畑の中、山の中、海岸など道なき道を求めて走っていました。当然、山の中や海岸は走れませんので押したり担いだりするわけです。

 

 部屋の壁一面に2万5千分の1の地図をたくさん貼り合わせ、自転車で行った道を赤鉛筆で塗り、一人悦に入っていました(暗い!)。当時は、今ほど道路も整備されておらず、砂利道やダートも多く、またよく道が途切れていました。途切れているところは山の中であろうが海岸であろうが、担いでいくしかないのです。
 こうして地図を赤く塗りつぶすために始めた担ぎだったのですが、いつしか担ぎそのものが面白くなっていきました。
 山の中を自転車を担いでいき、困難であればある程、苦しければ苦しい程、無事生還できた時の喜び、達成感、充実感は大きかったのです。喜びも苦しみも自転車と分かち合える。自転車は恋人でもあり戦友でもありました。私はどんどん山の中に自転車を担いで入っていきました。道なき道を行く、「私の前に道はない。私の後に道ができるのである」とさえ思っていました。

 

 山道は地図に書いてあっても実際に行ってみると途切れていたり、全く道がないことがしばしばです。また途中で道に迷うこともよくありました。そういうハプニング、予想外の出来事を含めて楽しいのです。
 波風のない平穏無事な人生、安定して予定通りに進む人生、それはそれで良いのでしょうが私には少し物足りない気がします。変化、刺激、ときめき、寄り道、そんな味付けがほしいと思います(まぁ修羅場にならない程度に)。
 話が脱線しましたが、自転車も一緒です。ロードで行くオフロード、ダートや担ぎもたまには良いものです。

 

 私の担ぎ方を説明します。トップチューブのサドル寄りを右肩に乗せます。右手でハンドルバーの右側か、フォークの右側を持ちます。左側のペダルを右腸骨(骨盤の前の方)に当てます。左手は自由に使えるようにしておきます。
 右肩、右腸骨には何かクッションを当てておきます。昔は12〜13kgのスポルティーフをこうやって一日中担いでいましたが、今は6.5kgのロードでとても楽です。
山の中で道に迷ったら、なるべく見通しの良い尾根づたいに歩き、見込みを付けてから下りていく方が安全です。いきなり谷筋へ下りるのは危険です。

 

 遭難しかかったり、急斜面を自転車と一緒に滑り降り(滑り落ち)たり、海岸の大きな岩の間を担いでいったり、腰まで雪に埋もれながら丸一日、雪中行軍したり色々やったものです。昔はMTBなどありません。ダートは登りも下りも700Cのスポルティーフでがんがん走っていました。これからもストイックシリーズで色々なことをやっていきたいと思います。

ストイックシリーズ予定(2007年前半)

第5弾 2/11 飯盛山・叶岳担ぎ縦走
第6弾 3月(?)不動池雪中行軍「天は我を見放したか」
第7弾 4月   第2回KOGA’S Cupヒルクライム「大板屋」(脇山小〜板屋峠)
第8弾 5月   星野村〜耳納産地「日本の原風景・広内の棚田を訪ねて」