麹の話・2
「さつま寿」の尾込商店の高級ブランド。最高級の「神座」の全く雑味を感じさせないうまさというより、「さつま寿」のホクホクとした甘さと香ばしさをしっかりと残し、人によってはくどく感じるかも知れない油分を取り除いて洗練させた感じ。
「さつま寿」「神座」「池の鶴」に「八幡」「田倉」、だんだんと偏ってきましたな。焼酎館も(^_^;)
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さて、この焼酎は黒麹を使用しています。これまでに取り上げた数少ない焼酎の中で、黒麹を使用しているのは「伊佐美」「相良仲衛門」「神座」そしてこやつ。いずれもが湯割りでうまい焼酎ばかりです。
現在使われている黒麹は、「麹の話・1」で取り上げた昔の黒麹とは違います。1980年代に河内源一郎商店で白麹から抽出されたものでNKと呼ばれています。当時、山元正明社長(河内源一郎氏の娘婿にあたります)にお話をうかがったことは懐かしい思い出です。
深いコク、悪く言えば芋臭さを強調しがちな(もちろん、造り方で変わるのですが)それまでの白麹に比べて、キレの良い甘さが引き出しやすいのと言われ、1980年後半から「黒伊佐錦」や「黒霧島」の大ヒットで一躍有名になりました。
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NKをもとに、改良を加えた黒麹が何種類かあるようですが、いずれにせよ黒だの白だのいっても、元々が泡盛用の黒麹にルーツを持つ家族のようなもの。巷間言われているほど味に違いはありません。それは、こいつを飲めばよーく分かります。
白と黒の違いなぞ関係ない。あるのは、うまい焼酎かまずい焼酎か、だけであります。
池の鶴 株式会社尾込商店(鹿児島県南九州市川辺町平山6855-1
2008/11/8

おいしく飲む道具・1
「黒ぢょか」。黒千代香、黒茶家と書きます。焼酎の湯割りを作るための酒器。いわゆる黒薩摩で、昔はこれを囲炉裏にかけて温めていたといいます。
あらかじめ和水しておいた焼酎、なければ焼酎と水を好みの割合(大体5:5前後)で入れて弱火にかけてトロトロと熱します。
直火でも大丈夫なものもありますが、ガスコンロで使う場合は網を敷いた上に置くといいでしょう。
火が強いとアルコールが立ちすぎてまずいし、弱いのもまずい。火加減が難しい。ふたがほんのりと熱くなったころが、飲み頃かな?
焼酎の湯割りは熱すぎるとアルコール分が鼻につくし、雑味が出てまずくなります。甘味や香りが引き立つのは大まか50度ぐらいでしょうか。たいていの方がこれより高い温度で飲まれているのではないでしょうか。
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ぢょかを使わず、グラスで直接湯割りをする場合、湯が先か焼酎が先か、という話題が出ることがありますね。適温に作れるのであればどちらでも同じ、です。しかし、適温にしやすいのは「湯が先」の場合です。熱すぎると思ったら、しばらくさましてから焼酎を注げばいいんですから。
2008/11/9

都会人の焼酎
東京からお見えになったお客様を接待したら、これのロックばかり飲んでいたそうな。「湯割りも試したら」と勧めても絶対に飲まない。接待した人の安い焼酎の湯割を「飲んでみたらうまさが分かる」と差し出したら、匂いをかいだだけで顔をしかめた、という話があります。
芋焼酎の独特の香りが、慣れない人には臭さにしか感じないのでしょう。私は、香りは酒の大切な要素、と信じ込んでいるので、氷漬けにしてわざわざ香りをたたなくする、ってのは矛盾している飲み方だと思う。
まぁそこは、人それぞれですからロックが好き、という人もいます。
さらりとした口当たり、ほとんど感じない芋臭さ。「ウオッカみたい」と評した仲間もいます。
私のように、薫り高い焼酎に毒されている人間にとっては香りも味もへったくれもない焼酎ですが、東京などでは大変高値で取引されているらしい。こうした軽さが慣れない人には受けるのでしょう。
魔王 白玉醸造合名会社(鹿児島県肝属郡錦江町城元618-6)
2009/2/1