大隅の焼酎は、ほとんどが淡麗系の味わいです。代表が「森伊蔵」ですね。水のせいか酵母のせいなのでしょうか。口に含んだ感じが軽くあっさりとしています。
往々にして芋のうまみが薄く感じるのが物足りなく思ってしまう。
ですが、これは軽やかな中にしっかりと芋の甘味が残っていて秀逸です。うまい酒だとは聞いていましたが、正直これほどとは思いませんでした。カメで仕込んで木樽で蒸留した上、何年か寝かした焼酎とブレンドするという手間をかけています。これで福岡でも2Kちょっとで買えるので、ぜひ飲んでみてください。
ちなみに「せんかめじょ」と読みます。志布志に伝わる民話に由来する名前。観音様の像と美しさを比べられ、負けた腹いせに像に悪さをしてバチがあたって醜くなってしまった若い女性の話です。
千亀女 若潮酒造株式会社(鹿児島県志布志市志布志町安楽215番地)
2009/2/7

おいしく飲む道具・2
カメつながりで。幕間の話題をひとつ。(^_^;)
焼酎はあらかじめ水で割っておくと大変まろやかになる、というのはここまで何度も登場しています。
そのための道具として、カメを使っています。下に注ぎ口が付いたもので、今は簡単に手に入ります。
和水するだけならガラス瓶でも良いのでしょうが、そこはそれ、雰囲気も大切です。注ぎ口のレバーをひねって黒茶家に焼酎を入れ、弱火にかけ、頃合いをうかがいながらぐい飲みに注ぐ。「だれやめ」という言葉が良く分かります。
私は大まか5:5で割ります。割って3日経つとまろやかになったのがはっきり分かります。人によっては、ひと月寝かせるとさらにうまくなる、と言います。
ガラス瓶で割るよりも、陶器の方がまろやかになるような気がします。理由は分かりません。雰囲気にだまされているだけかもしれない。ただ、鹿児島県出身の同僚は「がんたれでも、カメに入れて軒下に1年も埋めておけば、大概まともになりますもんね」と言います。何か訳がありそうです。
2009/2/7

酒が寝ている・1
おいしいと評判の酒で保存状態も良いのに、いざ開封して飲んでみるとなぜか口当たりが良くないことがあります。香りが立たず、味自体がヘンな殻をかぶっているような感じで、芳醇なフルボディの純米酒ほど起こりがちです。
私は「酒が寝ている」と称しています。寝ている酒を起こすには、いったん開封して外気に触れさせてやる。できたらそのまま冷蔵庫の野菜室あたりに4、5日寝かせてやると、味も香りも見違えるほど爽やかになります。こうなってからが本当の味。どうしてもすぐに飲みたい場合は、少々荒っぽいですがお銚子などに移して揺すってやる(ワインのデキャンタージュと同じですな)、または軽く燗をつける手もあります。
\(^^\) (/^^)/
ある方からいただいた四国の酒。ご覧の通り、「限定品 純米吟醸 中汲み 無濾過 生原酒」とおよそ思いつく限りのうたい文句を並べた気合いの入った酒です。これも某所で月曜日に封を切った直後は、寝ておりました。即、冷蔵庫野菜室行きで土曜日にいただいたところ、おいしかったですねぇ。梨の香りがして、しっかりしたコシと軽い酸味が程よくバランスした秀作です。
この酒、ラベルを貼っていない一升瓶に和紙のラベルを下げて、新聞紙に包んだ状態で流通しています。いただいたものの新聞紙は、ちょうど「メタボ対策」の特集記事が載っておりました。(^_^;)
Yさん、おいしいものをありがとうございました。私と某竹薮センセで8割方空けてしまいましたが・・・。
(σ- ̄)
川亀 川亀酒造合資会社(愛媛県八幡浜市五反田2-4-1)
2009/2/11