宮崎県南部、日向市(というより東郷町だな)で、2004年に産声を上げた、おそらく一番新しい焼酎蔵の製品。
地元出身で建設業に携わっていた社長が、生まれ故郷から新たな発信を、と取り組んだとのこと。鹿児島県内の蔵から商標や製造免許を譲り受けてスタートしました。
原材料にこだわった製品作りが評価され、まだ5年しか経過していませんが、全国の焼酎愛好家に定着しつつあります。
「あくがれ」は、黄金千貫を地元の伏流水と白麹で仕込んでいます。抜群の甘さと白麹らしい柔らかさに加えて、霧島周辺の焼酎らしい軽やかさで優しい焼酎。飲み慣れない人でも湯割りで飲めそうですし、飲み慣れた人でも十分に満足できそうです。
ちなみに「あくがれ」とは、郷土が生んだ歌人、若山牧水の第1歌集「海の声」にある「けふもまたこころの鐘をうち鳴らしつつあくがれて行く」から。魂が何かに誘われどこかに行ってしまう、というほどの意味から、現代語訳すれば「思い焦がれる」とでも言いましょうか。
ナースマンさん、毎度、おいしーものをありがとう。
あくがれ(在処離れ) 株式会社 富乃露酒造店(宮崎県日向市東郷町山陰辛212-1)
2009/11/29

意外だな、本坊酒造が初登場とは。会社の根っこが同じ薩摩酒造は度々登場しているのだけれども。
\(^^\)(/^^)/
栓を開けたとたん、干しブドウのような甘い香りがクンッと立ちます。かつてない強くて甘い香りです。味も甘くてやや濃厚な舌触りですが、決してざらついたりはしません。いいねぇ。
これは米麹を使わず、イモで麹を培養して造っているそうな。使っているのは黒麹の系統らしい。麹の培養に米を使わず、すべてをイモでまかなう手法は、かなり昔に霧島周辺に存在したらしいのですが、近年、復活させる試みがいくつかの蔵で行われています。
ただ、米を使ったものに比べ、甘みが弱く味の深みに乏しい焼酎になりがちだということで、なかなか難しいらしい。
でも、これを味わうと、新しい可能性があるのでは、と思わせる出来ですね。
千貫全量 本坊酒造株式会社(鹿児島市南栄3−27)
2009/11/29

この蔵、石室ともろぶたで麹を育ててます。石室、は読んで字のごとく石やレンガで仕切った部屋のこと。「もろぶた」というのは杉の箱のことで、石室に麹米を広げ、麹がある程度育ったところで、この「もろぶた」に小分けしてさらに育てます。こうすることで均質で良質な麹が得られる、というわけ。その分、設備投資と手間がかかるので、コストがかかり大量生産には向きませんな。
霧島一帯の焼酎は、軽さと甘味とこくが程良くバランスして上品で飲みやすい焼酎が多いですが、これはその典型。白麹とコガネセンガンを材料にした典型的なブランド品ですが、ぬるめの湯割りにすると柔らかな甘味が大変においしい。手に入りにくくなっているようですがぜひお試しあれ。
なかむら 有限会社中村酒造場(鹿児島県霧島市国分湊915番地)

2009/12/12