薩摩半島の西海岸、吹上浜に面した市来町の古い小さな蔵の焼酎。江戸末期には醸造を始めていたとのことで、今でも甕壺、むろ蓋(麹を発酵させる木製の背の低い箱)仕込みを続けています。
写真の黒ラベルは麹米にコシヒカリやヒノヒカリを使ったうえに1年間熟成させて出荷される高級品。甘い干しぶどう香と寝かせた焼酎に良くあるツルンとした口当たりが特徴です。
標準品は、白地の下三分の一に茶色の格子模様が入った洒落たラベル。ちょうど今そっちを晩酌用にしていますが、これよりもさらに甘い香り(バニラ?)が強く、口当たりもほっこりしています。
個人的にはこれで十分以上ですね。
大和桜(ヒカリ) 大和桜酒造株式会社(鹿児島県いちき串木野市湊町3丁目125)
2011/10/9

鹿児島市郊外、七窪大重谷の湧水で仕込んだ高級酒。同じ湧水で醸造した「つわぶき紋次郎」同様、良く磨き込まれて減圧蒸留らしい、のど越しなめらかな、コクのある焼酎です。
この蔵のホームページはなかなか充実していて、店舗向け商品説明をダウンロードできるのですが「おいしい飲み方」の欄「水割り」には「もったいない」とあります。
好きよ、こーゆーへそ曲がり。(*^_^*)
ところで東酒造、焼酎普及以前に薩摩藩で飲まれていた灰持酒(あくもちざけ)を戦後に復元したことでも知られています。普通の日本酒は低温加熱で殺菌しますが灰持酒は、灰を投入して弱アルカリ性とし雑菌の繁殖を抑えています。アミノ酸豊富で甘くちょうど味醂と日本酒を混ぜたような感じ、かな?
薩摩料理の酒ずしやつけ揚げ(最近は味醂で代用するのかなぁ)に欠かせない調味料でもありますね。
七窪 東酒造株式会社(鹿児島市小松原1丁目37-1)
2011/10/15

暗号みたいな名前ですが。薩摩弁で「からいもしょうちゅう」という意味。
やねだん」でご紹介した薩摩弁法則の2「組織の音分子を抜き取ったり併合したりして短絡化する」(@故夏目漠氏)に当てはまりますな。(^^;)
同じ鹿児島県内どこでも通じるわけではなく、ちょうど居合わせた種子島出身の方は「?」つてました。はるか四半世紀前、鹿児島に勤務した経験からも薩摩弁は地域差が大きく、田舎に行くとずいぶん苦労したものです。奄美なんてまったく言葉が違うし(琉球文化圏)。
閑話休題。
木樽蒸溜、甕壺仕込みにこだわる古い蔵が、芋の皮を丁寧にむいて仕込んだ焼酎。磨き芋らしい雑味のない味、深いコク。コクのある焼酎、たまに雑味を感じることがあるんですがこれはそんな心配はありません。今のところ地域限定、鹿児島県内しか飲めません。
ところで、同社のホームページに、かつて仕込みに使っていた「布引の滝の水」の水量が足りなくなった時、「武士は良い水の出る所に家を構えた」という言い伝えをもとに近くの武家屋敷跡をボーリングして良質の井戸を掘り当てた、というエピソードが紹介されています。水の恵み豊かな鹿児島らしい話ですね。
かいもしょちゅ 白金酒造株式会社(姶良市脇元1933)
2011/10/16