焼酎の新酒・1
日本酒ではごく普通の「新酒」。焼酎でも最近見かけるようになりました。
焼酎用サツマイモの収穫は早いところでお盆過ぎ、大体が9月から10月にかけてですから、晩秋が新酒の出回る時期、ということになります。
この黒伊佐錦新酒はラベルにあるとおり、無濾過。より新酒の味わいを強く出したいということでしょうか。甘みが強く、ついでに芋の繊維感やすりつぶした芋の匂いがしっかりと残っているので、慣れない人にはきついでしょう。
和水して数日置くか、せめて封を切って1週間ほど放置してやると飲みやすくなると思います。
ところで日本酒やワインだと新酒は当たり前だけど、焼酎であんまり見かけないのはなぜ?という話は次で。
黒伊佐錦新酒 大口酒造株式会社(伊佐市大口原田643)
2011/11/26

焼酎の新酒・2
出来上がった焼酎は、タンクで半年ほど熟成させてから出荷します。したがって秋に仕込んだ新酒が出回るのは、従来春4月だった、ということです。小規模な蔵では年2回仕込み、というのはここから来ています。
寝かせる理由を専門家に教えていただきました。酒を落ち着かせるため。出来たての焼酎は匂いもざらつきもきつい、荒々しい酒だそうです。じっと寝ているうちに丸く優しい味わいが出てくるそうです。
新酒が秋に出回るようになった一番の理由は、競争、でしょうね。目先の変わった商品を売り出して消費拡大につなげたい。幸い近年の醸造技術の進歩のおかげで十分商品になるものもできるようになったし。
ところで白波の新酒、こちらはさほどざらつき感もなく、かなり上品です。これなら慣れない人でも多少は良いかも知れません。
さつま白波新酒 薩摩酒造株式会社(枕崎市立神本町26番地)
2011/11/26

アルコール醸造の大元となる麹を増やす際、イモ焼酎であっても一般的には麹の台には米を使うというのは皆さんご承知。大量生産する標準酒ではタイ米を使うのが一般的です。これ、安いからという単純な理由ではありません。
醸造に必要な量を麹付けするためには機械でないととても間に合わない。国産米は粘り気が強く、機械では麹の回り具合にむらができやすく向いていないんだそうな。ただ国産米の方が香りが引き出しやすいと言われ、高級品の多くは国産米を使います。昔ながらの木の箱(もろ蓋、麹箱)に蒸し米を広げ何度も何度も丁寧に揉んで麹を育てていきます。ムンムンする熱気の中、延々と続く重労働で、まぁ高級品が標準酒の倍の値段する、ってのも分かります。
ちなみに小正醸造のホームページによると1升の焼酎を造るのに、米400gとイモ2kgが必要だとか。手間暇考えると1升で2000円から3000円で買える焼酎って安いと思う。
前置きが長くなった。悪い癖だな。
「小鶴」で有名な、大手のひとつ「小正醸造」の高級酒。もちろん国産米使用。有機栽培の黄金千貫、甕壺仕込みの贅沢品。キレとコク、甘味と軽さのバランスが抜群のうまい酒です。ちなみに小正醸造、現在の本社は鹿児島市にありますが元々は日吉町(現在の日置市)にルーツを持つ蔵で、醸造所はいまでも日吉町にあります。
蔵の師魂 小正醸造株式会社(鹿児島市卸本町7-5)
2011/12/24