前回の講釈の続き。
黒糖を使った焼酎造りは、奄美にサトウキビと黒糖製造技術が伝わった1600年代から始まったらしい。自家消費がほとんどだったようですが、敗戦後、アメリカ占領下にあった奄美が日本に復帰(1953)した際、米麹を使うことを条件に「焼酎」として製造免許を与える措置が執られました。当時の税制では、黒糖を使うと「スピリッツ」に分類され、高い酒税を課せられておったんですな。復帰に際しての産業保護策、というわけ。似た例には宮崎での20°焼酎保護策があります。どっかに書いたな。
ちなみに酒の種類によって税率が変わるのは「非関税障壁」であるとの指摘があり、2006年に製法やアルコール度数に応じた大まかな分類に変わって、焼酎もスピリッツも同じ税率が適用されます。
\(^^\)(/^^)/
毎度、講釈が長くなって肝心の焼酎の説明が後回し、っと。
奄美大島本島中部、宇検村で1996年に始まった一番新しい蔵の主力商品。音楽を聴かせると酒が丸くなる、って話をどっかで書いたが、これも3か月間、クラシックを聴かせて熟成させるのだそうな。それで、ご想像の通り「れんと」という名は音楽用語の「LENTO」に由来しています。味は、前回ご紹介した「里の曙」よりさらに丸くて軽やか。東京で女性に人気が出たというのも分かりますな。味もそうだが、ネーミング、瓶やラベルの意匠も、従来の焼酎のイメージと違うよね、と思っていたら、ここ女性杜氏なのね。納得。(*^_^*)
れんと 株式会社奄美大島開運酒造(大島郡宇検村湯湾2924-2)
2013/4/20

壱岐焼酎は、大麦と米を2:1の割合で原料とする長崎県・壱岐の特産で、これまでにも「壱岐Super Goldと「松永安左エ門翁」を取り上げています。いずれも香りとコクのバランスがとても良かった記憶がありますが、この酒も負けず劣らずうまい。特にコクがしっかりとあって、博多の有名なコマーシャル、「味がぴしゃ〜と付いとぉ」ってのが良く当てはまる。味が濃いとでもいいますか。それでいて妙な雑味は感じないのがよろしい。
壱岐焼酎は、ともすればさらりとしすぎて、イモ焼酎に慣れた身には飲み過ぎを心配しなくてはならんのだけれども、これなら適量で済みそうです(ホントか? (^^;))。
6つの小さな酒造所が統合されて生まれた蔵。長岡秀星のイラストをラベルにした「壱岐っ娘」が有名ですが、こちらは減圧蒸留ですっきりとしている分、コクは期待できません。女性向けです。酒飲みには断然、こちらをお勧めしますです。ハイ。
壱岐の島 壱岐の蔵酒造株式会社(長崎県壱岐市芦辺町湯岳本村触520)
2013/5/6

生食、製菓用に開発されたサツマイモ「頴娃紫」で仕込んだ変わり種。そこは技術のしっかりした大メーカーの製品らしく、そつなく仕上がっております。強い甘味が特徴ですな。
この頴娃紫というイモ、いろんな業界で人気らしく原料に使った菓子やビール、化粧水なんてのもあります。化粧水の味は知らんが、菓子(ケーキ、チップス)にしろビールにしろ独特の甘味が通奏低音になっておる。どこかラズベリーを思わせる硬質な甘味、とでもいいますかね。どちらもポリフェノールの一種、アントシアニンを豊富に含んでいるところが共通しているので、その関係でしょうか。話はそれるが、ビールはすごい味でした。炭酸入り焼き芋ジュースかと思うた。
んで、この焼酎も同じ種類の甘味。強い柔らかな甘味のくせに、どこかつるりとした感触が残ります。
こういうのがだめな人は受け付けないかも知れませんね。
赤薩摩 薩摩酒造株式会社(枕崎市立神本町26番地)
2013/6/1