未だに人気のあるプレミアム焼酎「3M」の一角。他の2銘柄、森伊蔵魔王はすでにご紹介したけれども、なぜかこやつだけがまだでした。ご相伴にあずかることは多かったけれども写真を撮る機会に恵まれてなかったんよね。
行きつけの焼き鳥屋で、限定10本入荷! というので友人が入れてくれました。ちなみにこの友人とはもやい(一緒に、というほどの博多弁)でキープしていて、現在実に4本、お店からは「えーかげんにして下さい」と泣かれておりますが。普通の店でプレミアム焼酎と称されるたぐいをキープするととんでもない値段になるけれど、この店はそんなことないので安心です。高そうな焼酎を並べてたっぷりと一味をかけた焼き鳥をいただく、という下衆な楽しみ方をしております。
村尾、蔵の標準酒「薩摩茶屋」をさらに研ぎ澄ましたような透明感のある甘さです。コシがしっかりしているので飲んだ、って気がしますな。さて、いつまで持つことやら。
村尾 村尾酒造合資会社(薩摩川内市陽成町8393番地)
2013/6/29

焼酎を選んでいると「黒瀬杜氏」という言葉に度々出会います。これ、鹿児島県笠沙町(と、今は南さつま市か)に本拠を置いて、各地の蔵に出張って焼酎造りを請け負った専門家集団のこと。断崖絶壁で海に面した笠沙町黒瀬は、満足な耕作地がなく出稼ぎが家族を支えていたんですな。歴史は意外に新しくて、明治も後半に入ってから(ってか、焼酎が現在と同じ形で作られ始めたのもそのころ)。当時の焼酎はほとんどが自家集落消費、品質もテゲテゲだったのが次第に商売として成り立つようになるにつれ品質の高い焼酎を造る技能を持った「黒瀬杜氏」は重宝され、その名前そのものが蔵の「売り」になった、という次第。
この蔵の現社長は、南さつま市長。焼酎ブームの中、黒瀬杜氏で町興しをという狙いで1993年に設立された第三セクターだから。焼酎の歴史や製法の展示をした「伝承館」を併設し、仕込みの季節には工場も見学できるなど観光を強く意識した蔵です。
でこの焼酎は、黒麹の限定生産品。甘味が強く、黒麹にありがちな硬さがなく丁寧に造られているのがよく分かる上質な焼酎です。
ちなみに「すんくじら」とは「隅っこ」ぐらいの意味。薩摩半島の南のはじっこに位置する笠沙の意地を表しているんでしょうか。
薩摩すんくじら 株式会社杜氏の里笠沙(南さつま市笠沙町赤生木6762)
2013/6/29

クラシックを聴かせて熟成させる「田苑」で知られた蔵の限定品。こちらはそういうギミックを使わず、若干長めに寝かせるそうだけれども、ごくオーソドックスな製法でこさえています。使っているイモは食用の「ベニコトブキ」。高系14号という有名なベニイモから生まれた比較的新しい品種(登録が1999年になってますな)。
薩摩半島西部の焼酎は比較的重たいのだけれど、これは口当たりが軽い部類。それでも大隅半島の焼酎のような軽やかさとは違いますね。甘味はしっかり感じるけれどもさほどしつこくなく、どこか焼き芋を思わせる後味。
なかなかのものだと思いますが、なんせ少量生産、鹿児島で見つけたらぜひ試して下さい。
名前の「流川」は、固有名詞ではなく蔵のそばの「樋脇川」の水の流れのイメージから命名されたとか。
流川 田苑酒造株式会社(薩摩川内市樋脇町塔之原11356番地1)
2013/7/27