わざわざ「夏」とうたっているのでお分かりの通り、ロックで飲むことを前提に造られた焼酎。紫優(ムラサキマサリ、農林54号)という食品加工用の品種を白麹で醸造したうえ、早めに甕から上げていわば熟成途中で瓶詰めしています。
確かに、ロックなら飲み口も後味も爽やかで、軽快なキレを感じていくらでも飲めそうです。奥行きやコクを捨てて軽さ、フレッシュさを取ったということね。
イモ焼酎は湯割りに限る、という個人的嗜好は変わらないけれど、こういう造り方、飲み方もあって良いかなと思います。香りの立たないロックを好む人が増えているし、夏に湯割りは暑苦しいと思う方も多いでしょうし。時代の流れでしょ。
夏赤江 落合酒造場(宮崎市鏡洲字前田1626番地)
2013/8/24

プレミアム焼酎人気はまだまだ高いけれど、レア度、を言うとこいつはかなり上位に来るのではなかろうか。いつぞやご紹介した「萬膳庵」の蔵元がごく少量生産している焼酎です。この蔵の先代(蔵の経緯は萬膳庵の項をご参照下さい)時代の標準ブランド。白麹を使っていますから多分、味も当時の面影があるのでしょう。開栓して、しばらくたつとほのかなタクアン香がします。コクのある焼酎には往々にしてタクアン香を持つ例がありますが、ひときわ雑味の少ない香りなのはすごい。
深みのある後口の爽やかな甘さだけれども、単純に柔らかいだけでなく辛さが見え隠れする複雑な甘味。洗練された最近の焼酎の流れとはちょっと違って、昔ながらのうまい焼酎、でしょうか。飲み慣れた人向きだと思います。
ナースマンさん、孫チンから解放され、ようやくいただくことができました。
毎度ありがとーね(^^)/
真鶴 有限会社萬膳酒造(霧島市霧島永水宮迫4535番外2)
2013/8/24

大手焼酎メーカーのひとつ、本坊酒造の現在の主力商品としては「桜島」が有名になっているけれども、昭和20年代から造り続けられ、本坊酒造の顔となっているのが「さつまおはら」。この「手造りおはら」は、昭和50年代に当時鹿児島港の近くにあった鹿児島工場で造られていた県内向け限定品の復刻版。コガネセンガンを甕で仕込み柔らかい口当たりと香り、コクを併せ持った上品だけど濃い焼酎です。飲み慣れた人向けだな。
昭和50年代後半、といえばちょうど私が鹿児島市に勤務していた頃。実は鹿児島工場を取材させていただいたこともあります。縁だけを出して土に埋められた甕の中でぶくぶくと泡立ち、発酵が進む様子は中々見られませんね。まさに、これを造っていたんですな。匂いはすごかったけれど。
鹿児島工場は現在、同市谷山に移転「鹿児島郷中蔵」として焼酎造りを見学できる観光施設になっています。機会があればぜひ見学してはいかが?
手造りおはら 本坊酒造株式会社(鹿児島市南栄3−27)
2013/10/5