鹿児島の酒屋さんの熱意から生まれた焼酎。詳しくは「日本・侍士の会」ホームページをご覧いただければよろしいかと。広い人脈を駆使して原材料から自分たちが認めたものを集め、焼酎を造った、という。蔵元は、「華奴」という標準酒を製造していますが、創業が1990年と新しく、こだわり抜いた注文にも応じることが出来たようです。
侍士の会が主導してできたこの焼酎は2012年から造られています。大正の頃まで地元で造られていた「白玉」という米を使って麹付けしています。途絶えていた品種を酒造りに使えるほど栽培し、うまく麹が付くかどうかわからんので、農業改良普及所を巻き込んでの試みとなったとか。官民一体となっての酒造り。ここまでやれるのは、地元に根付いた酒屋さんの強さでしょうな。
ところで、味と香り。軽めの甘さとしっかりしたボディ、ざらついたところが全くない。香りも強くはないがシモン酒系の良い香りです。とにかく非常にきれいな酒という印象。ごく少量の生産(ちなみに2013年は2700本、うち4合瓶が132本とか)ですから入手は難しいけれども、もし見つけたらぜひ試して下さいな。
侍士の門 太久保酒造株式会社(志布志市松山町尾野見1319-83)
2013/11/3

焼酎館、4か月も更新していなかったのね。心を入れ替えて飲むのをやめたわけでは、もちろんなくて、この冬は醸造酒(日本酒とワインね)の消費が多かったせい。
こちらも焼酎と負けず劣らず飲んでおるから仲間内では講釈を垂れているけれど、あまりに奥が深くて、私ごときが知ったようなことを書いても詳しい方からせせら笑われるのが分かっている(んじゃぁ焼酎はどーだ?ん?と言われると返す言葉がない…)ので公表する勇気はありません。ワインはテーブルワイン専門で高いのには縁がないし。
さて、プレミアム焼酎が大好きな人はよくご存じの「野うさぎの走り」。米焼酎の古酒です。アルコール度数が37度もあって、味わいは何に近いかというと、ウイスキーですな、甘い口当たりの上品なヤツ。写真をよくご覧いただければおわかりのように、ちょっと油断してたら、あっという間に半分に減っておりました。口当たりがよいので、ついつい飲み過ぎてしまいます。
飲み方は、断然、生がお勧め。ほのかな甘みを存分に味わえます。冷したり薄めたりして飲むのは、この酒の長所の口当たりと香りが隠れてしまうのでお勧めしません。
野うさぎの走り 黒木本店(宮崎県児湯郡高鍋町大字北高鍋776)
2014/4/11

大隅半島の南、約60kmの海上に浮かぶ屋久島は、九州最高峰である宮之浦岳(1,936m)をはじめ1,000m級の山が連なる「洋上アルプス」です。特に島中央部に並んで鎮座する宮之浦、永田、栗生の三座を「三岳」と呼んで、焼酎の銘柄にもなっていることは皆さんご存じの通り。あと、島北西部の愛子岳(1,235m)にちなんだ銘柄「愛子」もあります。
これらの山々に南からの湿った空気が当たり、林芙美子が「はア、一ヶ月、ほとんど雨ですな。 屋久島は月のうち、三十五日は雨という位 でございますからね」(浮雲)とまで書いた豊かな水量となってまれに見る杉の原生林をはぐくんでいます。
有名な「縄文杉」を見ようとすると午前4時起床、バスで行けるところまでいっても1日がかりの登山行だけれども、チャンスがあればぜひご覧下さい。縄文杉の推定樹齢は約4,000年。アメリカ西海岸のジャイアントセコイアが同じぐらいの樹齢で、これらが地球上で最も長命な生命らしい。
と、つまらん講釈はさておき、豊富な水量をたたえる島南西部、安房川のほとりの蔵で造られる焼酎。37°。これまで色んな原酒を飲んだけれども、これほど甘くてまろやかなのはちょっと記憶にありません。良質のウイスキーだね。
したがって、チェイサーを横に置いて、常温の生で飲んで下さいまし。
m(_ _)m
原酒屋久杉 本坊酒造屋久島伝承蔵(鹿児島県熊毛郡屋久島町安房2384)
2014/11/8