FIXEDの悦楽」「扉を開けたら」を執筆してくださった名古屋在のベテランNさんから、新たなコンテンツをいただきました。
折からの自転車ブームで、各地の自転車イベントは大賑わいだそうです。ちょうどこのコンテンツをいただいたころに開かれた大分県・国東半島を巡る「ツール・ド・国東」は、約3000人もの参加者で大盛況だったようです。残念ながら仕事との兼ね合いで、ここ5年ほど参加できずにおりますが、イベントが盛り上がるのは大変うれしいことです。ただ、参加するにあたってはマナーを守り、主催者側が決めたルールに従わなければ、事故を引き起こしてしまいます。
イベントに出るのはちょっと怖い、出るからには楽しく走りたい、そうした方のためのヒントになればと、お許しをいただいて掲載します。

給水、給食について
これは普段から自分の給水、給食のペースを掴んでおくことが大切です。僕は大体15分おきに一口二口水を飲み、一時間におにぎりを一つ食べることにしています。
甘いものが欲しくなって大福もちなどを食べることもありますが、大福もちなどを食べた後はかえってパフォーマンスが落ちる。血糖が急激に上昇、それを抑えるためにインシュリンが急に分泌されるためではないかと僕は考えています。
エイドステーションでは柿の葉寿司、笹もち、おにぎり、アンパン、ジャムパン、オレンジなど、美味しそうなものがたくさんありますが、なるべく普段の練習のペースを守ったほうがいい結果になるようです。
全く根拠のある話ではありませんが、僕の給水、給食に関する現在の考えです。
@水分とカロリーを同時に補給することはできない
例えば水と大福もちを同時に食べると、別々に食べたときよりもパフォーマンスが落ちるような気がします。水を吸収するのにもエネルギーを使い、大福もちを消化吸収するのにもエネルギーを使うからではないかと考えています。水は水、食料は食料だけ取ったほうが効率が良いような気がしています。
A補給食は着火剤?
僕は1時間におにぎりを一個食べますが、自転車に1時間乗るのに必要なカロリーには到底足りない。しかしそれ以上に食べてしまうと、かえってパフォーマンスは落ちる。
僕は運動中には、すでに自分の中にあるもの(たとえばグリコーゲン、脂肪など)しかエネルギーとして使えないのではないかと考えています。グリコーゲンはそのままエネルギーとして利用できますが、脂肪は何か触媒になるものがないと、エネルギーとして利用できないのではないか。
すなわちおにぎりはすでに自分の体内にあるものを、エネルギーとして利用する着火剤、あるいは触媒として作用しているだけではないのかと考えています。
B水を吸収するのにもエネルギーがいる
本当に暑いときや疲労困憊したときなど、水を飲んでも飲んでもおしっこや汗になっていくばかりで、ちっとも喉の渇きが癒されないということを経験します。
それはもはや腸管から水を吸収し、細胞に運び細胞で利用するだけのエネルギーがないのではないかと僕は考えています。だから乗る前や乗り始めに多めに水を取り、身体をオーバーハイドレーション気味にしておいたほうが良いのではないかと考えています。
繰り返しになりますが、以上の三点はあくまで僕の私見です。根拠のある話ではありません。

ルートを間違えることはまずない
要所要所に立て看板がありますし、特に間違えやすいところや事故が起き易いところでは、立哨の方が案内をしてくださいます。またGF吉野では2007年から5kmおきに看板が立つようになりましたから、本当に安心して走れます。僕はプロフィールマップは持ちますが、ルートマップは持ったことがありません。

ドラフティングは十分に安全を確認して
先頭交代をしながらスピードを上げて走るのは、イベントの醍醐味の一つでもあります。しかし十分に安全を確認してからに・・・。自転車を邪魔者扱いにする車もいますし、必ずしも好意的に自転車イベントを見てくれている人達ばかりではありません。とにかく安全第一に。

撤退するのも勇気
特に社会経験の深い方は、「努力、辛抱、根性」でどうしても頑張りすぎてしまう。でもイベントはあくまで趣味、遊びです。
「これはダメ」と自覚したら脚きりに合わなかったとしても、自主的にショートコースに回るとか、途中棄権をするとかしましょう。来年また頑張れば良いことです。ただしスタッフの方は、そのチェックポイントを通るべき人全員が通ったかどうかを調べていますから、その旨申告するのを忘れないように。

最後の20kmくらいは頑張る
GFでは最後の20km(ゴールまで約1時間位)でタレてしまうことが多い。またゴールが、坂を上りきったところにあるコース設定のイベントもあります。この最後の20kmは脚のあった人を見つけて頑張って走ると、タイム的にも縮めることができますし、ゴール後の満足感が違います。

自宅に着いたときが本当のゴール
イベントのゴールは「仮のゴール」です。帰り道で事故を起こしては何にもなりません。自宅に無事着いたときが「本当のゴール」です。

まとめ
長距離イベントのスタッフの方々はほとんどボランティアです。
昼食のお弁当とスタッフTシャツ程度で、大会本部テントの設営や、参加者の車の誘導をしてくださったり、一日暑い中で立哨に立ってくださったり、選手のスタート・ゴールの世話をしてくださったりしています。そんなスタッフの方々への感謝の気持ちを忘れないように、そしてそのイベントが来年も開催できるように走りたいものだと僕は思います。

2009/5/17