風を切って息を上げて、心ゆくまで楽しんだら汚れを落として愛車の労をねぎらってあげませんか。
磨き上げられた自転車は、オーナーの愛着が感じられてとても気持ちの良いものです。反対に、いくら高級車に乗っていても薄汚れていたら、この人は自転車が好きではないんだな。と思ってしまいます。
ただ自転車をきれいにするだけじゃぁない。故障、トラブルを防ぎ、安全なサイクリングをするために愛車を長持ちさせるためにメンテナンスは欠かせない。
「メンテの神様」は絶対にえこひいきしません。5万円のクロスバイクだろうが100万円超のロードレーサーだろうが、きちんと手入れをする人だけに味方をしてくれるのです。

<塗装面編>
拭う:すべての手入れの基本>
無事自宅に帰り着いた。自転車を放り出してシャワー? それともビール?
でも、ひと息ついたら必ず手入れをしましょう。
ナニ、難しいことはない。雨や泥まみれになっていないなら、フレームやパーツを拭うだけで十分です。
乾いたきれいな布、洗いざらしたタオルや着古したアンダーシャツでウエスを作っておき、これで丁寧に拭っていく。ゴシゴシ力を入れずに軽く。ダウンチューブの下、フォークやシートチューブの裏、チェンステイ、シートステイ、雨が降ってなくても意外と汚れているものです。
「ワックス付けなきゃいかんですか」と良く聞かれますが、普段は何も付けなくて大丈夫です。(この辺は別項で)。大切なのはきれいな布を使うこと。もし汗まみれになった所があれば、別の布を濡らして汗を丁寧に拭き取りましょう。
拭っていると色々なことに気付きます。タイヤが石を跳ねてフレームに小さな傷が付いている。仲間に食らいついた時にペダリングが汚くなってクランクにシューズが擦れている……etc。
拭っているうちにクラックを発見したり、ねじが緩んでいるのを見つけたり。大事故を防ぐのは日頃の小さな積み重ね、ってことです。
2010/10/24

塗装の保護:液状のが使いやすい>
最近の自転車をお持ちの方から「ワックスはかけなくていいの?」と尋ねられたら、私は「かけたければどうぞ」と答えることにしています。
最近の塗料(ウレタン塗料)は大変強くて、多少のことでは艶が消えたりはしません。最近の自転車で艶ひけを起こしているのは、カラ拭きさえもしていない証拠です。
とは言いながら、私も時々、「オートグリム・スーパーレジンポリッシュ」なる保護剤を使っています。我が家に居着いている自転車が骨董品ばかりで、ウレタン塗料ではなくラッカー塗装のものが多いこともありますが、何より、雨に当たってしまった後の手入れがしやすいのが理由です。
雨(や水気、とゆーか、一緒に付いてくる泥、だな)を弾いてくれる、というのがワックスや保護剤を塗る最大の理由です。固形のワックスは平面がほとんどない自転車には塗りにくいので、液体が使いやすい。オートグリムみたいな高いモノを使う必要はありません。プロショップで売っているフィニッシュラインなどごく普通のポリッシュで十分です。必ずポリッシュ専用に使う布(綿)を用意して定期的に、条件によりますが数か月に1度、雨の後は、完全に乾いてから塗るとか、で構わないと思います。
2010/10/30

保管:埃は大敵>
大事な愛車、ほとんどの方が部屋の中か屋根付きガレージに保管していらっしゃると思います。
かく言う私メ、マンションの中に完成車がふた桁鎮座ましまして、明らかに人間様よりも威張っております。お犬様の次ぐらい。人間は小さくなって暮らしておる。
σ(^_^;)
雨風に当たらないから大丈夫、と思われるかも知れませんが、放ったらかしだと、いつの間にかメッキや塗装が曇って取り返しの付かないことになります。
原因は埃。寝具の上げ下げや着替えの度にわずかずつ出てくる綿埃、道路に面していたら土埃、排気ガスの微粒子。これらがフレームや部品に積もって、空気中の水分を吸って悪さをするんですな。湿気が多く気温の変化が大きい日本ならではの危険です。
これを防ぐには定期的に、乾いたきれいな布で拭いてあげるかハタキをかけるかしかありません。自転車が増えるに従って、マメさが大切になってきます。
2010/11/20