福岡市西部で約30年間プロショップを営む南米商会が、道路拡張に伴って建て替えすることになり、近くに仮店舗を構えることになりました。3〜4か月の仮住まいですが、立て替えるためには引っ越しをせにゃならぬ。常連総出でお手伝い(猫の手、ともいう)をやっておるのですが、これが難物でしてな。30年間積もりに積もった垢なのか宝の山なのか。すべてが渾然一体・・・・。
ストレートに書くといろいろと差し障りがありそうなので、講釈は最小限にとどめて、かかわった方々(名前は書きません)の会話から状況をご推察下さい。うそのようなホントの話です。

<smoking time>(-。-)y-゚゚゚
scene 8=フォークの曲がり
きれいに曲げられて放物線を描くフォークには、ビルダーの心意気が見えますな。
セットになったフォーク用パイプでも、曲がり方が違うことがままあるのだそうな。同じ力、感覚でギュッ!と曲げても左右のパイプで曲がりが浅かったり深かったりする。もちろん、どっちかに合わせて調整すれば見た目は同じなんだけどね。
下りのコーナーで突然振れ出す癖の悪いフォークにぶち当たることがあります。何でだろうなぁと考えて、思い当たったのがこの話。確かな根拠があるわけではありませんが、社長も「あり得ること」と話しています。
まぁそこまでひどくはなくても、左右のパイプで強度が違うってぇのは良いこととは思えません。
社長が造っていたころは、何本か曲げて同じように曲がるもの同士を組み合わせていたと言います。乗り手がそこまで分かるかどうかは別にして、造る側の真面目さが現れる部分であります。
scene 9=良いフレームって?
独断と偏見ですけど、抵抗なく真っ直ぐ走るフレームであれば、後は本人の力次第であります。
最低条件として、フレームに前後輪が一直線上にちゃんと付いていてほしい。
当たり前のようですが、これが難しい。微妙にずれていて修正が必要なフレームが相当数出回っております。有名メーカーのものでも例外ではないので、修正ができる腕前と見る目がない人は通販でフレームを買うのは一種の賭であります。
修正が難しいのがアルミエンドだそうで、こやつが曲がって付いているとほぼ修正不可能だとか。見分ける方法として、クイックを締めると車輪が微妙に動くようならあきらめた方が・・・・・。

<scene 10>
「毎度! おぉ! フレームとかちゃんと飾って、なんか自転車ショップみたくなっとぉ」
「そ! 心を入れ替えてしょーばいせな。新しい店もきれいにするばい」
「・・・・・・・・・・・・・」
「◎□さん、お宝を整理しよぉとたい。ショーケースに並べるね」
「そぉしましょ。あ カンパなんぞ並べたらいかん。面白くもなんともない。そこのちょーオタク級のば並べよぅい」
「何すか?こりゃ? タケノコが生えたようなのとか、棒が突き出たのとか、このちっこい反射板みたいのは何ですか? こんな変な格好のピラーなんか誰が使うとですか? 」
「お! タケノコちゃぁ、なかなかセンスがありますな。これはですな通称タケノコと呼んでいる変速機のスタイルであります。特にこの○×■のは貴重品で云々、こっちの反射板は云々・・・・・・」
「わからん・・・・・・・・」
「それがよかですばい。いずれにしろお店に飾るより博物館の方が似合うものばっかり。この中のものが分かるような客はうるさか。相手にせんがよか」
「つて。そりゃ、あんたやろがね」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

追記:その後の南米商会
大騒動した引っ越しから数か月。道路拡張が終わり、新築の店舗に戻って営業を続けているのは皆さんご存じの通り。
ただし、
新しい店もきれいにするばい
とゆー決意もむなしく、
1階はともかく皆さんが入ることのない2階は、ストックとかデッドストックとか、お客様の預かりものとかで足の踏み場もないくらい散乱しております。当初は「談話室」にしてうるさい常連を隔離する計画だったのですがね。
そうそう、古い国産パーツを探しに来られたお客様が、この「宝の山・ジャンクの山」を見て目ぇひんむいた、なんて話もありましたね。こうして古いお店からレアものが消えていくのだなぁと。南米商会はまだ捨ててない方だと思いますが。
ともあれ、まだまだ大量に残っているン十年前の不良在庫のおかげで、私の無駄な自転車遊びが成り立っている、という一面を否定するわけにはいきませんね。
2011/5/1・この項、模様替えに際して