NAMBEIを買いに

拙HPに数々のコンテンツを提供していただいている名古屋在住のNさんが2012年末、遠路はるばる福岡を訪れてNAMBEIピストラーダをオーダーされました。2013年2月に完成し納車されましたが、この間の経緯や南米商会でのやりとりの様子などを文章にして下さいました。ベテランらしくなかなか深く鋭い洞察が随所にみられます。ディープな愛好家だけでなく、まだ冥府魔道に染まっていない方にも参考になることが多いと思います。ぜひお読み下さい。

2日目
大宰府に行くつもりでしたが、生憎の雨。午前中は博物館に行ったり、大分大学在籍中の次男と会ったりして過ごしました。
午後、南米商会さんに伺うと、セブンのBBの修理の真っ最中。どうやらウオーター・シーフが入っていなかったらしく、BBの総替えが必要とか。セブンのチェーンステイは砂時計のように湾曲しているので、通常のクランクシャフトを使ったのではチェーンホイールと干渉してしまう。在庫のクランクシャフトをあれこれ試して頂いて、無事チェーンラインを出してもらいました。
チェーンラインが出たところでクランクを回してみると、リヤコグを通ったチェーンが妙な動きをして、オートマティックにブレーキがかかってしまう。考えられない動きです。
この原因は僕が持参した○ー○ーの19Tのリヤコグにありました。18Tまでのリヤコグは入手が容易なのですが、19Tのリヤコグは入手が難しい。この○ー○ーのリヤコグもイギリスからの通販で入手したものです。このリヤコグの精度が悪く(どうも偏芯しているらしい)、チェーンのエキセントリックな動きを引き起こしていました。『部品の精度』というものを、思い知らされました。合わせてその原因が即座に判る薙野さん、店長さんのお見立てには、感服しました。勿論これでは使えません。南米さんの在庫の18Tのリヤコグを付けて貰いました。
これら一連の作業を見ていて思ったのは、プロは決して慌てない、焦らないという事。それは「これでうまく行かなかったら、この手がある」。「この手でもダメならあの手がある」という、知識と経験に裏付けられたものだと思います。そして結果的には短時間で作業が済んでしまう。僕だけかもしれませんが、アマチュアはいらんところで慌てる、あるいは焦る。それは「この手でダメだったらどうしよう!?」と、半分パニックになっているからでしょう。いい勉強をさせてもらいました。
名古屋に帰ってから気が付いたのですが、セブンのリヤハブにも手が加えてありました。うまく説明できないのですが、無理なくチェーンラインを出す工夫だと思います。
整備にかかった費用をお支払いするときに、女房の『サイフ』が役に立ちました。「連れてきてよかった〜〜」と思ったのですが、名古屋に帰ってからしっかりと取り戻されました。
お土産まで頂いて、南米商会を後にしました。翌日早朝に福岡を後にし、午後2時ころに名古屋に着きました。帰りもいろいろあったのですが、これは余りにくだらんことなので・・・。
ほんの短い滞在でしたが、とても多くのものを得ることができました。技術的なことや知識はもちろんですが、もっと『奥深いもの』を得たような気がする。うまく言い表せられませんが、「自転車が好きというだけでこれだけ濃厚な人間関係が作れるんだという感動」と言ったら良いでしょうか。「この人(たち)が作った自転車なら無条件に命を預けられるという信頼感」と言った方が適切かもしれません。
今度オーダーした自転車はこういう物語を背負って生まれてくる。こういう物語を背負って生まれてきた自転車が良いものでないはずがありません。お互いの顔が見えないことが当たり前になったこのご時世で、face to faceの大切さを思い知った3日間でした。
皆さん、本当にありがとうございました。
2013/3/30

届きました
60回目の誕生日(2月26日)、ピストラーダが届きました。11月のオーダーの際、「できれば誕生日に間に合うと嬉しいです」とお願いしてありましたが、まさか3か月で届くとは思っていませんでした。
「なんて『スラッとした自転車』なんだろう!」というのが、箱を開けての第一印象です。『どこにも奇を衒ったところがない自転車』という表現の方が適切かもしれません。ひとつの究極の完成型で、「この自転車のどこをどういじっても、今より良くはならない」と思って眺めています。ここまで来ると、ボトルケージの選択も難しいですね。TAの鉄ケージかなぁ・・・。
マージ、セブンのピストラーダと並べてみると、この2台がストラーダから発生したのに対し、今回のピストラーダはピストから発生したと感じるのは、僕だけでしょうか。
社長さん、店長さん、薙野さん、本当にありがとうございました。また4回目の仲人さんを務めて頂いたgodzziさんにもお礼申し上げます。ありがとうございました。(回覧板から引用)http://godzzi.net/cgi-bin/index.cgi

誤字さんからも
無事納車おめでとうございます。
> 今回のピストラーダはピストから発生したと感じるのは
うまい表現だなぁ。確かに出自みたいなものがありますね。たくさんのピストフレームを見ているせいもありましょうが…。
今回のフレーム、奇を衒わず凝ったことをせず、肩の力を抜いて目的に忠実にど真ん中を狙って造ったらこの格好になった、ということでしょう。
乗り味、教えて下さいね。(*^_^*)
(回覧板から引用)http://godzzi.net/cgi-bin/index.cgi

とお祝いの言葉とともに、『インプレッションを書く』という大変な宿題を頂きました。
編者注
ピストラーダの写真インプレッションは南米商会ブログにあります。ご参照下さい。
2013/3/30