2014年夏
今春、知人から「櫓櫂舟から巨大船へ」という本を贈られた。
海の傍で生まれ育ち、櫓櫂船で遊んだことがきっかけとなって商船大学に進み、巨大船の船長となる著者の半世紀が記されていた。
彼の出発点となった京丹後市の久美浜湾を見てみたくなり、今年の旅を兵庫県在住のS君に計画してもらった。
盆前に台風11号が兵庫県を縦断、盆過ぎには、今回のルートに決めていた丹波但馬地方は大雨。広島市ででは大災害が発生するなど異常気象の連続だったが、ツーリングした8月13、14日は、幸いに悪天候の谷間にあたり天候にも恵まれ、過ごしやすかった。
毎年、恒例となった夏の男旅の三人。
今年で合計200歳。去年同様、決めた場所に全員集合できない“ボケ”も入ってきたが気持ちだけは青春に戻れる旅だった。

8月14日 (但馬楽座〜久美浜〜天橋立〜丹後由良 110km)
朝風呂に入り、ゆっくり朝食をすませて午前9時前に出発。15km先の城下町、皿そばが有名な出石へ寄る。まだ開店前の観光地といった感じで土産物屋も準備中。
シンボルとなっている明治4年にできた時計台「辰鼓楼」で記念撮影。出石から円山大橋を渡らずに、豊岡をかすめ田んぼの県道を少し走り国道178号線に出て久美浜をめざす。
久美浜湾は時計回り、まず如意寺に立ち寄る。上から賽銭を入れると妙音を発し、胴体部分を静かに回せば諸仏の巧徳が得られる「曼荼羅宝壺」に55円入れて回してみる。見た目よりスムーズに回った。周囲約20kmの湾はとても静かだった。「櫓櫂舟から巨大船へ」の船長も、子供の頃は日が暮れるまでこの湾で遊んでいたことだろう。

大向から海水浴場の小天橋を通過して丹後神野から県道666号線〜668号線〜国道312号線と、車が少なく走りやすいルートでて峰山を通過、昼食タイムだったので車組に連絡すると、まだ出石にいるとのこと、あっちは蕎麦食ってるなと想像。こちらは目の前にあったすき家にした。ここも店内は混雑していたが、うなぎ牛丼がさっと出てきた。ボトルにたっぷり冷たい水をもらい短時間で昼食をすませ次の目標、天橋立へ向かう。
丹後大宮あたりで国道312号から外れ県道651号線で大内峠へ、なだらかな上り。そして車も来なくてのんびり走れた。標高166mの頂上は一文字観公園という名称で、天橋立が一文字に見える。
カーブの多い道を岩滝まで下り籠神社側から天橋立をゆっくり自転車で走る。レンタサイクルは大繁盛、お盆の時期で観光客も大勢、海水浴の人達もいっぱいいて大にぎわいだった。大天橋を渡り車が数kmの大渋滞を尻目に自転車はすいすい!
栗田トンネルを抜け、真っ青な若狭湾がみえる所で車組に交通情報の連絡をする。
天橋立まであと5km地点まで来ているとの事なので、天橋立に近づかないよう伝言し、丹後由良の駅で待っていてもらうようにする。丹後由良の駅にはほぼ同時に到着。ここで自転車はゴールにして輪行袋に収納。舞鶴まで25km、車の中で心地よい疲労感だった。ホテルの最上階の風呂で汗を流し、歩いて10分ほどのこじんまりした居酒屋「進肴」をT君が予約してくれていた。道に迷いながら倍の時間をかけ到着。海の幸、ビールそれに地酒で意識が飛んでいった。

本日の走行データ
T: 5:07
D: 110km
M; 56.1km/h
A: 21.4km/h

「GOAL IN NOMBE」と記された針金細工の自転車をS君にもらった。
しかし、男の三人旅のゴールインはしばらく先にしたい。
コース概略