自転車の趣味にはまってしまった人なら、誰でも憧れるのがフルオーダーの自転車。体格、走力、趣味に合った自分だけの1台というのは何ものにも代え難い魅力です。昨今のクロモリブームで昔ながらの職人さんが誂えるオーダーフレームは大変な人気だそうで、ブランドによっては1年以上待たされることも当たり前、どころか受けてもらえたら幸運とまで言われています。
ともあれ、いつかは乗りたいオーダー自転車。それなりの金額を
はたくのですから「こんなはずじゃなかった」と後悔はしたくないものです。

スケルトンの基礎知識4・トレイルの不思議>
スケルトンで一番ややこしい「トレイル」の話。
ヘッドチューブ中心軸と前輪中心までの距離が「オフセット」。ヘッドチューブ中心軸と地面が成す角度が「ヘッドアングル」。
このふたつ(と車輪径、だな)によって決定される「トレイル」が操縦性を決定付ける一番大きな要素です。
左の写真をご覧になれば理解できると思いますが
ヘッドアングル同じ
「オフセット大=>トレイル小」「オフセット小=>トレイル大」
オフセット同じ
「ヘッドアングル立=>トレイル小」「ヘッドアングル寝=>トレイル大」
となります。
んで取り回しがどう変わるか、というと……。
直進性
ハンドル鈍い
切れ込みが早い(バタンと倒れる)
トレイル大トレイル小 機敏
ハンドル軽い(取り回し易い)
神経質
つまり、同じヘッドアングル(はじめその他の寸法が同じ)なら、オフセットの大きなフォークを付けた方がハンドリングの軽い機敏な取り回しの自転車になる、ということ。
意外ですか?
ただし、これも適正な範囲、というのがあってロードレーサーの場合、トレイルの適正値は55mm〜60mmあたり。わずか数oのことで素性が変わるんですね。
トレイルが大きく直進性の強い自転車を「立ちが強い」と表現することもあります。個人的には多少、立ちが強い方が好きですが、いずれにせよどちらに極端でも癖が強くて乗ってて疲れる自転車になってしまいます。
ところで市販車のカタログを見ても、トレイルまで載せているものは稀で、計算の基になるヘッドアングルとオフセット両方載せているものも少数派です。善意に解釈すれば「ちゃんと設計しているから、ユーザーはそこまで知らんでよろしい」ということでしょうかねぇ。知らんけど。

2011/7/2 
スケルトンの基礎知識5・身長による寸法変化
フレーム寸法は身長によって適正サイズが変わるというのは常識ですが、小さいフレームは大きいフレームを縮小コピーすればすむか(または「大は小の拡大コピーか」)というと、違いますな。530mm付近だとトップチューブとシートチューブの長さがほぼ同じぐらいなのですが、これより小さいとトップが長め、大きいと短め、つまり小さいフレームは基本3角が横長、大きいフレームは縦長のフォルムになります。これに伴って小さいサイズのシート角は立ち気味、大きいのは寝る傾向にあります。当然、ヘッド角にも影響が出てきますな。ヘッド角が変わるとフォークオフセットを見直さないと、適正トレイルに収まらないということになってしまいます。何とも面倒な話ですが、重心やヒザとクランクの位置関係、パーツの規格等々、複雑な連立方程式を解かねばならん、ということです。
つまり身長180cmの友人のオーダー寸法は、165cmの人には参考にしたくてもちょっとね。というお話。
2011/8/5

スケルトンの基礎知識6・変化しにくい寸法>
上記「基礎知識5」は、身長によって変化する寸法の話でしたが、逆に身長にあまり影響されない部分もあります。
まずリア・センター。大体400mmをちょっと超える付近です。むしろ反応を良くするために短くするとか安定性優先で長めにするとかの要素が大きい。
それからハンガー下がり。これも大きいフレームだからと、大きくすることはない。大体65mm〜70mm付近。
いずれの寸法も700Cのホイールを使う、という大前提がありますから大きくいじりようはない、ちゃあないのですが、それよりもキビキビ感、登坂向けにしたければ小さく、長距離、楽ちん向けなら大きめ、にするという具合で身長の大小よりも乗り味からの要求というのが面白い。
2011/8/5