新しいパーツやメーカーの噂、非力なローディーの試乗記、複雑怪奇なパーツの互換性をクリアする方法etc・・・。自転車雑誌やプロショップでは相手にされないお話を集めてみました。随時更新します。
 ただし、あくまで「噂」と「裏技」です。眉にツバを付けてお読みください。安全のためには「裏技」はお試しにならないほうがよいか、と(^^;) 思います。
(2011/12〜2012/1)

<自転車と社会:5>2011/12/3
取り締まりの隘路
暴走自転車に対する取り締まりが事実上されていないのは「お巡りさんが面倒くさかっただけ」と書きました。これには、お巡りさんに大いに同情すべき理由があります。それは自転車に反則金制度が適用されないこと。ちょっと堅い話になるけれど、自転車とルールを考える際にこれを押さえていないとピンぼけになるので、我慢してお付き合い下さい。
法律に違反すると、事実をつかんだ警察が「こ奴はこれこれの法律に違反した疑いがあるので、お白州で裁くかどうか決めて下さい」と検察にお願いします。検察は警察の調べを元に調べを進め、裁くべき、と判断したらお白州(裁判所)に引き出すんですな。これが起訴手続き。警察も検察も、違反した人間の特定から事件に至った経緯、犯罪事実などをまとめた「調書」や起訴する理由等の書類を作成しなければなりません。
もちろん裁判所も判決は量刑を決めた理由等を文書で示さなければなりません。大変な手間なんですわ。これをごまんとある交通違反でやってたら、警察から裁判所までとても手が回らないので、軽微な違反(語弊があるのは承知)については、違反に応じた金を国に納めれば手続きが完了する、ということにしました(道路交通法125条)。これが交通反則金制度。刑事裁判によって課せられることがある「罰金」とは違います。
身元が確認できる運転免許証が前提となった制度で、違反を重ねると免許停止、免許取り消しなどの処分が待っていることはご承知の通り。
ひるがえって自転車の場合、運転免許証がなくても乗れるので、この反則金制度が適用されません。もし自転車の違反を取り締まろうとすると、くどくどと書いたような刑事手続きを踏むしかない。大抵は道路交通法違反なので、いわゆる赤切符と呼ばれる呼び出し手続きで始まります。
もしも、やる気のある警察署が苦労もいとわずバシバシ摘発しても、検察に持って行った段階で多分、「(-_-)あんたねぇ」と言われるでしょうな。人手不足は警察の比じゃないし。だから、以前はノーブレーキピストで摘発されても検察段階で不起訴処分(おとがめなし)が通例だったのが、「起訴するぞ」となっただけでも大変な前進なんです。
したがって自転車については、重大な死亡事故等を起こさない限り摘発されなかったし、罰則の裏付けがないお巡りさんの注意などそこらのねぇちゃんでさえ言うことを聞かない(今のお巡りさん優しいからねぇ)。お巡りさんも注意しなくなった、ってのが現実ですね。
自転車にも反則金制度を適用するのが、一番手っ取り早い現状改善策だというのは皆理解しているのですが…。

模様替え>2011/12/30
年末。ごちゃごちゃとした狭い我が書斎(?)をたまにはすっきりさせて新しい年を迎えよう、と模様替えを兼ねた大掃除をしました。
ひとつは限られたスペースを有効に使うための、パソコンデスクの配置換え。もうひとつは大量のパーツコレクションに押し出された洋服の収納場所の変更。
部屋からすべてのものをいったん出して、掃除機とスチーマーを使って徹底的に掃除。パソコンの置き場所を変えるとコンセントの位置が遠くなるので電源コードの取り回しもやり直し等々、ずいぶんと時間がかかりました。途中、用意したLANケーブルの長さが足りずに近くの電器店に走る、なんて手違いもありましたが夕方には無事終了、うまいビールが飲めました。
で部屋に納めている10台の完成車、手入れの手間がかかる骨董品を近くに、腐らないカーボンバイクは奥の方、と並び順も見直して、これで正月が迎えられます。

Herseはいずこ?・1>2012/1/13
自転車工房数あれど、見せびらかして100人が100人、驚いてくれるのは、まずもってルネ・ルス(Rene Herse)を挙げることに異論のある人は自転車愛好家にはいないと思う。
これからご紹介することは、ランドナー乗りの皆さんには先刻ご承知とは思います。が、自転車の魅力にはまって日の浅い方にも、こげなディープな世界がまだまだ広がっているということを知ってもらいたい。
ルネ・ルス、アメリカで復活してるんですな。10年放置したリンク集の手入れをしているうちに偶然見つけました。
ルネ・ルスはフランスの工房。1930年代後半、航空産業界(何をしていたかご存じの方はご教示下さい)から転身して、フレームや部品等の製造を始めます。
彼は銀ロウやシールドベアリングを使ったボトムブラケットなどを考案、ヨーロッパ大陸で盛んだったブルベ用のランドナーを始め革新的な競技用自転車を次々に生み出します。日本のランドナーは、すべからく彼のランドナーのコピーからスタートしています。端正なフォルムは世界中に知れ渡っていて「宝石」とまで呼ばれていましたな。もちろん私なぞには縁のない自転車で、現物を拝見したのはもう30年以上前。美しい、のもそうだけどむしろ「力強い」という印象を持ったことを覚えています。
どうも話が飛ぶな。
ルネは1976年に鬼籍に入り、娘のリリーが経営を引き継ぎ、ルネと一緒にフレームを造っていたジャン・デボアが製作を続けますが、彼も病気がちで数年後には店を閉めてしまいます。
長くなったので、続きは次で。

Herseはいずこ?・2>2012/1/13
アメリカの愛好家は、熱意、財力、マニア度、どれをとっても日本とはケタが違います。
ルネ・ルスのファンも人数も知識もお金も日本の比じゃあない。そこに目を付けたコロラド州ボルダーのショップがリリーにブランド買い取りを交渉、リリーとその夫が顧問に収まることを条件に2007年にブランドが復活しました。
アメリカ製になったとはいえ、後継者のリリーが顧問として名を連ねている以上、正統なブランドといえるでしょうな。
で、どのようなものかはホームページを見ていただきましょう。特徴的なオールメッキのランドナーや真ん中からブレーキワイヤを通すステムなんかも再現されてて、なかなか良い雰囲気です。でも今の方がきれいなような気がせんでもない。
日本からでもオーダーが可能です。ただし、目ん玉飛び出るほど高いのは昔以上。フレーム&フォークだけでも5,000〜7,000ドルを用意しなければなりません。
(*^_^*)