新しいパーツやメーカーの噂、非力なローディーの試乗記、複雑怪奇なパーツの互換性をクリアする方法etc・・・。自転車雑誌やプロショップでは相手にされないお話を集めてみました。随時更新します。
 ただし、あくまで「噂」と「裏技」です。眉にツバを付けてお読みください。安全のためには「裏技」はお試しにならないほうがよいか、と(^^;) 思います。
(2016/12)

過当競争の果て・上>2016/12/11
スポーツ用バイク、特にロードバイクが売れていないらしい。別に爺様たちが、たむろして敷居を高くしている某商会だけではないらしく、それどころかヨーロッパでもさっぱりとのことです。一方で、自転車関連メーカーはここ数年で急激に増え、昔は50社程度だったのが今では150社にもなっているそうな。
売れないのに過当競争なので、有力メーカーは厳しいノルマを課して押し込もうとする。問屋もショップもたまったもんじゃありませんね。取り扱いを絞っている小さなショップよりも、品揃えが自慢の大規模店や全国展開チェーンなどの方が内情は厳しい、という話も聞きました。
押しつけ販売を行う一方で、需要の掘り起こしにも躍起になっています。これまで縁のなかった初心者を取り込もうという動きです。限られたマニアを相手にしてたって、商売にならんと言うわけですね。
さて、最近のロードバイクの傾向、ひと昔前とはかなり変わっていることにお気付きでしょうか。
まずタイヤの大径化。20〜23mmが普通だったのが、25mmが最適! などと宣伝しています。そんなに良いなら、昔っからパリ・ルーベなどでは太いタイヤを使っていたんだから、他のレースでも使うはずだと思うがなぁ。
確かに、太いタイヤは下りのグリップは各段に良くなるし、ひとりでサイクリングをする分には良いんだけど、仲間と走る時は23mmの方が楽です。
プロは与えられたものしか乗りませんから、「プロが使っている=良い」という訳ではありません。こんなうたい文句に踊らされるのはかわいそう。
と、長くなりそうだな。今日はここまで。

スピード・コントローラー>2016/12/18
「スピード・コントローラー」というのをご存じですか。
ナニ、ブレーキのことを、正式な用語ではないのだけれども、こう呼ぶことがあるんですね。
ブレーキは「乗り物を止める」ためのメカニズムです。まぁこれは当たり前なんだけれども、もうひとつ重要な役目は、「減速して速度を調整すること」。だから「スピード・コントローラー」。同じことじゃねぇか、と思われるかも知れないけれど、結構違う。
写真は通称デルタブレーキ。カンパニョーロが'90年代前後に短期間ラインナップした名品です。仕上げが良い、値段はもっと良い(定価は8万幾らだったような記憶が…)その代わり、止まらん! というので有名でした。ただ、こやつ例えば40km/hから20km/hに減速するにはちゃんと効くんですな。問題は、そっから先、ゼロになるまで時間と距離と握力が必要だったと言うことですね。
実はブレーキにとって一番大切なのは、減速時のフィーリング(過渡特性)。自動車やオートバイでは、ディスクブレーキよりもドラムブレーキの方が制動力自体は高いのだそうです。それにもかかわらずディスクブレーキがほとんどになったのは、この過渡特性に優れているから。
横道にそれたな。で、当時はカンパの製品作りが迷走していた時代。「レースじゃめったに止まることはないんだから、フィーリングを優先させるだ」と思ったのかどうかは知らんが、やはり止まらんのはまずかったようで、数年で姿を消しました。
たまにこんなトンチンカンがあるけれども、ブレーキのフィーリングは、カンパに勝るものはありません。創業以来80年以上もレースシーンで鍛えられた財産ですよね。

過当競争の果て・中>2016/12/18
<スピード・コントローラー>の項を書いていて思い出した。
ロードバイクのディスク/ブレーキが、思ったよりも浸透していません。プロ選手の抵抗が予想以上に強く、レースで使われていないので、売りにくい、ということのようです。
レースで使いにくいのは、ディスクとパッドを正確に装着するためにはスルーアクスルにしなければならず、それだとホイール交換に時間がかかりすぎる、というのが大きな理由らしい。剥き出しの薄いディスクが高速回転するという危険もあるし。
ディスクブレーキが本当に必要なら、とうに導入されているはず。現にMTBでは当たり前の装備になってます。ただロードのプロ選手の技量なら、無理して導入するメリットはないということね。
天候に左右されにくい(雨でもよく効く)というのが、ディスクブレーキ最大の利点。これは素人ほどメリットが大きい。メーカーが導入を急ぎたい理由は、そこにあります。過当競争、落ちる売れ行きという状況の中、新たな層を取り込むためには「だれでも、安全に乗れる」商品を開発する必要がある、例え、それが最大の市場且つ訴訟社会のアメリカ向けの免罪符だったとしても、それは良いこと。
んなら、直接それをPRして堂々と売ればよいのに、「プロが使う」=「性能が良い」という相も変わらぬ欺瞞に頼っているようでは、いかんのではないか。

過当競争の果て・下>2016/12/24
最近のリア・スプロケットのワイドなこと。普及価格帯(=初めての方が買いやすい)には11-32Tなどというレシオが当たり前になっています。
5速時代からスポーツ用自転車に乗っている爺にとっては11速でも25〜26Tあたりが見栄と脚力の兼ね合いの許容範囲。5、6速時代は23Tなんて付けた日には「女々しい」(ジェンダーなんて言葉はなかったからね)なんて言われたもんですが。
これだけワイドになると、チェンジする度に、速度が大きく変わり体力を消耗します。長い距離乗ると疲れると思うが、問屋さんなどに聞くと、最近乗り始めた方は、ワイドでないと変速した気がしないらしい。
小うるさいマニアのように、ペダリングはまず回転、なんて関係ない。平地では重たいギアをゴリゴリ踏めばスピード出るし、登りはいくらでも軽いギアを選べた方が良いに決まっているということみたい。まぁそう言う時代なんですな。
ところで、ロードバイクのギア、2×11で22速もあるけど、実際に使っているのは多くても14速ぐらいだそうな。一方、<中>で取り上げたようにディスクブレーキと相まってエンド幅を広げようという動きがあります。
MTBではリアエンド幅が135mm→142mmが当たり前になり、最近は148mmが出始めてますね。こうなるとリアスプロケットだけで14枚を収めるのもさほど難しくはなくなるので、近い将来、フロントがシングルとなって1×14速の時代が来るかもしれない。
今のところ、シマノがあまり乗り気ではないという話も聞くので、どうなるやら分かりませんが…。