持ち主に愛され、可愛がられていたバイクも長い年月のうちに壊れ、また、朽ちていきます。なかには良い持ち主に恵まれないままプロショップの隅で眠ったままのバイクもありましょう。
こうしたバイクのフレームが、何本か私のもとで復活の時を待っています。
狭い我が家にそうそうたくさんは置けないとは思いながら、何かの縁があっての邂逅です。ピカピカの新車時代、オーナーに愛されていたころの姿に少しでも戻してあげたい、と思っています。

<磨き倒すぞ!>2009/9/13
使用予定のブレーキはセンタープルなので、アウターワイヤー受けが必須です。本体と合わせたマファック(MAFAC)製があったのですが、毎度おなじみ、仕上げがすんごく悪いのよね。あんまりひどいので磨き倒すことにしました。本体も同じようにガサガサなのでバランスが崩れるという人もいて、この辺は意見の分かれるところ。
平ヤスリを使って出っ張りを削り、ざっとならして耐水ペーパー#400→#800で滑らかにしていきます。形が整ったら、リューターで真鍮ブラシ→ナイロンブラシ→シリコン→フェルトと順番を追って磨きをかけます。最後のフェルト仕上げには、専用の「青棒」を少量つけて磨き込むと見違えるような光沢になります。
ちなみに写真左が磨き前、右がほぼ終了に近づいた段階。
で、こんなことやるとブレーキアーチ本体まで磨く羽目になるのではないか、というのが一番心配なんだけどね。
(*^。^*)

<部品から自転車が生える>2009/10/17
「部品から自転車が生える」というのは、この道のドツボにはまった人ならすんげぇ実感を持って理解できると思います。
オタクの生態を綴った「自転車依存症」(白鳥和也、平凡社)にも、「では、さらに症状が進んだ場合の所見はどうかというと(中略)ある部品を使いたいがために、1台どうしても自転車を作ってしまいたい(云々)」というくだりがあります。
アルビーが手に入ったのでキャンピングを造ろうとか、グランモアートを持っているのでキャプッチが乗っていたころのアルミロードをこさえようとか、まぁそういうことですな。
で、自慢にもならんが、ケルビム再生を始めたきっかけのひとつが、ブルーメル(Blumels)のプラガードが某所に落ちていた・・\(^^\)(/^^)/・・のを見つけたことでした。
フレームの存在は以前から知っていましたから、ガードを見つけなかったら多分手を染めていなかったでしょう。
ガードに合わせてフレームの再塗装を出しましたし、パーツも「これに似合う雰囲気を」がひとつの基準だったので、そういう意味では、明らかに主役はコヤツなのですな。さらに、割れやすいので心配、と、色違いをあと2セットも集めてしまうに至っては・・・・。(万一、取り替えることになったら塗装をやりかえな、ならん)
もちろん、現在は生産されておらんパーツなので、ステイやダルマネジなどの小物の確保に苦労しました。
いざ組み付けるとステイとねじの径が微妙に違っていたり、固定ナットがいびつでスパナがかかる所とまったく入らない所があるとか、噂に聞く精度の悪さを堪能させていただきましたが、まぁ雰囲気だけは最高だ、と勝手に思っておりまする。

<デカールを貼る>2009/10/24
ケルビムから取り寄せておいたデカールですが、バンドやワイヤを取り回す前に貼ってしまわないといけません。
まぁ、普通の人ならちゃんと段取りを考えてレストアに取りかかるでしょうから、塗装に出す前にデカールを手配し、塗装と同時に貼ってもらうと思います。こちとら行き当たりばったり、辻褄合わせで生きてきた報いでそーゆーことに考えが及ばなかったので、今頃になって頭をひねる羽目になっております。
このデカールはアルコール貼りです。貼ったままにしておくと乾燥してヒビが入ってしまうので、クリア塗料で押さえてあげなければなりません。その作業が下手だと塗り跡が分かってしまってみっともない。
で、毎度おなじみ、社長の手を煩わせることになりました。用意するものは次の通り。
(1) 無水アルコール。新型インフルエンザのおかげで品薄。手に入れるのにひと苦労でしたな。
(2) クリア塗料。塗装を痛めないために、水性アクリルが良いとアドバイスを受けました。そう、タミヤのプラモデル用がぴったり。
(3) 平筆。できるだけ柔らかいもの。下世話に言えば、できるだけ高いやつ。ということで画材店で3000円(税抜き)のを購入。このぐらいのになると、ちゃんとガラスケースに入っておったね。
デカールの裏をたっぷりのアルコールで湿らせてパイプに貼り付けてしばし。乾き始めたところで上から水を含ませた布で叩いていくと、あら不思議(な、わけはないか)、ちゃんと転写されるのであります。
で、完全に乾いたところで、クリアをひと筆、さっとかぶせてできあがり。
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さらに、例のレジンポリッシュをかけたため、後からクリアを部分的に重ねたなんて素人ではまず見分けられない出来映えに仕上がりました。
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